3位は海運大手の商船三井で離職者数は10人(1.0%)。複線型の人事制度を導入して社員のキャリアの選択肢を増やすほか、役職定年制度の廃止やシニア層へのキャリア研修など幅広い年齢層のキャリア支援に取り組んでいる。
4位は総合水処理最大手の栗田工業(0.8%)と香料メーカーの長谷川香料(1.2%)が離職者数12人で並んだ。
栗田工業はフレックスタイム制度や勤務間インターバル制度のほか、新分野への挑戦を促すセカンドキャリアサポート制度などを導入している。
長谷川香料は女性活躍に取り組んでおり、管理職に占める女性比率は23.5%と製造業平均の5.1%を大きく上回る。
6位は屋外作業機械メーカーのやまびこで離職者数は13人(1.2%)。時間単位の有給休暇制度(年5日分)を導入し、社員に自由な研修受講を認めるなどキャリア支援に取り組んでいる。
7位は西部ガスホールディングス(1.1%)、東京エレクトロン(1.0%)、大同特殊鋼(0.4%)、極東開発工業(1.4%)が離職者数15人で並んだ。
また、参考値だが、離職率が最も小さかったのは特殊鋼専業メーカーで0.4%だった。同社はコアタイムなしのフレックスタイム制度や国内外留学支援、キャリアアップ支援制度などを導入している。
上位100社の平均離職率は1.9%
今回のランキングで紹介した100社の各数値の平均値は、離職率1.9%(前回調査比+0.1ポイント)、平均年齢41.9歳(同-0.3歳)、勤続年数17.2年(同-0.2年)だった。上位企業には製造業が多く、比較的業績が安定しており、柔軟な労働環境を整備しているなどの傾向が目立つ。
また、キャリア相談や人事評価の見直しによるシニア層のモチベーション向上や、キャリア支援や「手挙げ制度」など、学び直しやチャレンジの機会を提供している企業も多かった。
組織の活性化や経済変化への対応には、一定数の人員の入れ替えは必要になる。しかし、それはリストラや外部人材の登用だけでなく、社内人材のリスキリング(学び直し)によっても達成できるはずだ。ただし、それには企業の地道な取り組みや環境整備が必要であり、成果が出るまで時間を要する。
現在のところ「適正な離職率」に明確な答えはない。しかし、今回紹介したランキングの平均値や上位企業の取り組みは、多くの企業にとって参考になりそうだ。企業の持続可能な発展にとって「適正な離職率」はどの程度か。今後も調査を継続していきたい。
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