最近日本の政治家が公然と台中問題を口にする訳 約半世紀ぶりに日米首脳会談共同宣言でも言及

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中国が軍事的圧力を強める台湾情勢を巡り、日本政府の公文書への記載や閣僚の踏み込んだ言及が相次いでいる。中国の統制強化で国際金融都市・香港の自由と民主主義が揺らぐ中で、中台問題の平和的解決に対する期待が薄れつつあることを反映している。

安倍晋三前首相が台湾問題で中国を強くけん制

「香港で起こったことが台湾で決して起こってはならない」。安倍晋三前首相は7月29日、日本と米国、台湾の議員による戦略対話に参加し中国を強くけん制した。日本の主要政治家が公の場で台湾問題に言及することは、珍しくなくなっている。 

旧民主党政権で防衛副大臣を務めた自民党の長島昭久衆院議員は「中国の姿勢がこれまでと大きく変わったことが一番の背景だ」と日本側の意図について語る。「今まで中国の善意に期待し、挑発的なことは言わずにきた」ものの、香港の統制強化や新疆ウイグル自治区でのウイグル族迫害も含めた中国の強硬姿勢が日本側の意識を変えているという。

長島氏は、中国が台湾統一に向けた行動を起こす可能性について「もしもではなく、いつなのかだ」との認識も示す。

日米首脳の共同文書で1969年11月以来初めて台湾に言及

日本は台湾と友好な関係を築いているが、「非政府間の実務関係」の立場であり、台湾を国とみなさない「一つの中国」の原則を支持している。米国が台湾支持を明確にする一方、日本は経済的な関係も深い中国への配慮ものぞかせてきた。 

台湾を巡る日本の立場を鮮明にしたのが、4月の日米首脳会談だ。日米両政府は共同声明で台湾海峡の平和と安定の重要性を確認し、中国をけん制。日米首脳の共同文書で台湾に言及するのは、日中国交正常化前の1969年11月以来だった。岸信夫防衛相は6月のインタビューで台湾情勢は「日本に直結している」との認識を示した。

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