最近日本の政治家が公然と台中問題を口にする訳 約半世紀ぶりに日米首脳会談共同宣言でも言及

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不測の事態の議論は静かな作業であるべきとの声も

元防衛相で自民党の小野寺五典安全保障調査会長は、尖閣諸島周辺での活動も含めた中国の動きをみると「現実に起きていることは防衛白書よりも深刻化している」と話す。日米が東シナ海で実施している共同訓練では、台湾有事への意識が「以前よりかなり高まっている」という。

有事となれば地理的に近い日本への影響は避けられない。台湾から日本最西端の与那国島までの距離は約110キロ、日本と中国が対峙(たいじ)する尖閣諸島までは約170キロの距離だ。台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡は、日本にとって重要なシーレーン(海上交通路)でもある。

小野寺氏は、自民党内では、すでにさまざまな事態を想定した議論を進めていると語る。日本の領土や国民に直接被害がない場合の米国からの支援要請への対処や、武力行使の前にサイバー攻撃があった場合など「どのようなことが起きるかは常に想定し、その備えは必要だ」と強調した。

一方、岩屋毅元防衛相は「中国が成長していけばやがて民主主義、自由主義に傾いていくとの期待が大きかった」とした上で、「そうではなさそうだと分かったことへの失望や反感、警戒が出てきている」と説明する。ただ緊張を高めないために有事を想定した議論は「政府の中の静かな作業であるべきだ」との考えを示した。

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