最近日本の政治家が公然と台中問題を口にする訳 約半世紀ぶりに日米首脳会談共同宣言でも言及

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7月に入ると麻生太郎副総理兼財務相は、台湾で大きな問題が起きた場合は安全保障関連法で集団的自衛権の行使を可能にする「存立危機事態」に関係するとさらに踏み込んだ。2021年版の防衛白書でも中国を安全保障上の「強い懸念」と位置付け、台湾情勢の安定の重要性を初めて明記した。

菅義偉首相は7月30日の記者会見で、台湾情勢については「日米同盟の抑止力、さらには東南アジア諸国連合(ASEAN)の同志国と連携しながら対応していく」と語った。

最近の日本の世事化の発言は「根本的な変化」の表れ

中国・清華大学の劉江永教授は、最近の日本の発言は、自民党と政府との新たなコンセンサスを示している可能性があると述べた。かつては「ひそかに」扱われていた問題が、日本の「根本的な変化」により今や公然と議論されつつあると言う。

日米台の議員による戦略対話に参加した前駐日大使のハガティ上院議員は、「台湾に対する中国の脅威について、日本がより明確な立場を示すことは心強い」と述べ、日本側の変化を歓迎した。

中国の習近平国家主席Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

国際社会の警戒感が強まる一方、中国の習近平国家主席は7月、台湾統一は「歴史的任務」であると述べ、実現に強い意欲を表明した。米国のインド太平洋軍司令官は3月の議会公聴会で、中国が6年以内に台湾に侵攻する可能性があるとの見解を示している。

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