「ノア/ヴォクシー」発売7年目でも絶好調の訳 後発のライバルを抑えて売れている3つの理由

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室内の広さや、シートアレンジや操作性といった使いやすさは、デビュー当初から定評がある。また、ハイブリッド仕様をミニバンとしていち早く導入したのも魅力の1つとなった。

さらに、マイナーチェンジを重ね、先進運転支援システムの充実も図られている。2020年9月には、販売済み車両に対する「トヨタ セーフティ センス」のソフトウェアアップデート・サービスも開始した。

そして、“3兄弟であること”も、商品力の高さにつながっている。それぞれ異なるデザインから好みの形をチョイスできるのは、他社のミニバンにはない強みだ。

ボディ形状は同一ながら、フロントとリアのデザインは3兄弟で異なる(写真;トヨタ自動車)

ヴォクシーが“スポーティな若々しさ”、ノアが“精悍・堂々”、エスクァイアが“高級感”と、それぞれに違ったキャラクターを持たせている。

室内が広く使い方も良好、ハイブリッドがあって、先進安全装備も充実。さらにデザインも選べる。モデルライフは長くても、内容に不満がない。これがトヨタのミニバン3兄弟を選ぶ人の気持ちだろう。

おもしろいのは、兄弟車でも販売台数が異なることで、価格の高いエスクァイアは別として、ノアとヴォクシーの販売差は単純にデザインの人気の差であるといえる。

2021年上半期のノアとヴォクシーの販売比率は「1:1.6」。メッキ部分が多くて豪華に見えるノアよりも、すっきりとしたヴォクシーの方が人気は高い。

ちなみに、上級ミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」兄弟は、ゴージャスな顔のアルファードのほうが圧倒的に売れている。クラスによって、顔つきの好みは異なるのだろう。

全店併売化によりアルファードはさらにヴェルファイアとの販売差を広げている(写真:トヨタ自動車)

製品がよければモデルライフは長くても

デビューしてから7年目であるのに、いまだに高い人気を誇るトヨタのミニバン3兄弟。人気の裏には、モデルライフ延長を容認する市場の心理も要因としてあるだろう。

7月19日には「アクア」がフルモデルチェンジし、第2世代となったが、その初代モデルは10年もの長期にわたり販売され、売れ続けた。また、昨年10月フルモデルチェンジした日産「ノート」も、先代は8年もの長いモデルライフを送っている。

そうした人気車種のモデルライフが長引くことで、短期でのフルモデルチェンジを求める市場の気分も弱まっているのだろう。“新しいもの”よりも“定評のあるもの”が求められるようになったのかもしれない。

タイミングがよく、商品性がよく、そして売り方がよかった。たまたま揃った3つの要素の相乗効果こそ、ノア/ヴォクシー/エスクァイアのミニバン3兄弟が強い理由だといえるだろう。次のフルモデルチェンジは2022年だと噂されているが、最後まで販売動向から目が離せない。

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鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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