「私には無理」という思い込みを破る3つの方法 ジョコビッチも学んだ脳トレーナーの深い教え

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これにならえば、自己に制限を加えようとする内外の声や要因を察知しても、そこに反応して「自分を合わせる」のではなく、自分の目標に沿った「環境を作り出す」ように考え、行動すればよいということになる。

押し込めていく思考と、生産していく思考。この違いを理解しているだけでも踏み出す準備になるだろう。

固定観念と闘うカギ

悪しき固定観念を最小限に抑えて、自分の能力を自由に解放するためのマインドセットを育てるには、どうすればよいのか。クウィック氏は、まずは「固定観念の存在に気づくこと」だという。

自分はダメだという内なる声が聞こえてきたら、それに注目し、声の出どころを探ってみよう。多くは子ども時代の社会環境が源であることが多いという。

内なる声が自分をどう制限しているかを知り、見極めると、それはあくまでも「意見」であって「事実」ではないとわかり、心は軽くなるだろう。すると、その声に反論することもできる。

第2に「根拠を確かめること」。たとえば、自分は“本当に”人前で話すことが苦手なのか、裏付けはあるのか。過去の経験は、100%ダメで何の手ごたえもなかったのか。よくよく考えると、実はそんな事実はなく、固定観念の出どころは、現実に根差したものでもないことが多いという。

さらに、自分が能力を発揮できないと感じたとき、その原因がどの程度「内なる声に惑わされること」に起因しているのかを分析しよう。人は、自分のしていることに自信を持てないと、内なる声が騒がしくなり、集中力を欠いてしまう。そして、実力を発揮できなくなるのだ。ここを知ることが、固定観念と闘うために重要だ。

第3に「新しい信念を作ること」。自分を内観して分析できると、「人前で100%うまく話せる人などいない」というネガティブな思考が、「プレッシャーが最高潮の状態で、何度かいいプレゼンができたことは誇っていい」というポジティブな思考に変わってくる。

自分を制限してきたのは、実は現実とは乖離したネガティブなキャラクターからの声でもある。実際の自分とは区別して、現実へ踏み出す。それが、リミットレスへの第一歩だ。

泉美 木蘭 作家・ライター

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いずみ もくれん / Mokuren Izumi

1977年三重県生まれ。24歳でイベント企画会社を起業し、即刻倒産。借金返済のために働く日々をつづったWebサイトが話題を呼び、作家デビュー。以降、週刊誌やWeb媒体等で執筆。TOKYO MX「モーニングクロス」「激論!サンデーCROSS」などテレビ番組でレギュラーコメンテーターとして出演。著書に『オンナ部』(バジリコ)、『エム女の手帖』(幻冬舎)、『会社ごっこ』(太田出版)等。趣味は合気道とラテンDJ。

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