また、2021年に入ってからは、さらに落ち込みが激しい。1月の10位(5889台)から徐々に順位が下がり、5月では23位(2032台)まで急落。ヤリスは、フィットと同じく2020年2月発売だが、リリースから1年以上を経過しても1位をキープしている。現行フィットには、かつて年間販売台数1位を獲得した初代や2代目のような勢いがない。
今回のe:HEVモデューロXや2タイプの20周年記念車が追加されたことで、フィットの販売台数にどんな影響が出るのかが気になるところだが、初速はかなり好調のようだ。
ホンダによると、これら追加機種の販売台数は、発売された2021年6月4日から7月上旬までの約1か月間でe:HEVモデューロXが310台、カーサはガソリン車が約350台、ハイブリッド車は約1450台(合計約1800台)、メゾンはガソリン車が約300台、ハイブリッド車は約1150台(合計約1450台)となっている。これらの合計だけでも、約3560台の受注を受けたことになるため、十分なテコ入れ施策になっているといえるだろう。なお、前述した自販連による2021年6月の新車販売台数で、フィットは5月の23位から16位(3393台)にV字回復を果たしている。
改良を加えたがフィット復権には課題が残る
このように、今回の追加機種投入は、一定の効果を生んでいることは間違いないようだ。ただし、問題は持続できるかだ。とくに特別仕様車は、「20周年記念」という特別感も好調の理由だと考えらえる。ホンダによればとくに販売予定期間を設けていないそうだが、旬が過ぎると落ち込む可能性も十分にある。
一方、e:HEVモデューロXは、カスタマイズ車ということや、価格が300万円近いということで、さほど多くの台数が出る仕様でもない。販売計画台数も年間3200台だから、ホンダとしても大ヒットを狙っているわけではないのがわかる。あくまでホンダファンやクルマ好きなど、コアなユーザーに向けた商品だ。
そう考えると、フィットの復権にはまだまだ多くの課題があるように思える。現行フィット発表時の計画台数は月間1万台。それに対し、2020年2月14日から2021年6月末時点までの約16カ月間における総販売台数は約12万4000台だ。計画どおりであれば約16万台近くになっているはずだが、3万6000台ほどショートしている。2021年7月19日には、トヨタのハイブリッド専用コンパクトカー「アクア」の新型も発売され、競合モデルがさらに増えた。一時代を築き、20年以上も続くロングセラーモデルだけに、今後の動向が気になるところだ。
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