2035年、欧州で「ハイブリッド禁止」となる意味

欧州グリーンディールが他人事ではない理由

話を現在(2021年7月)に戻す。欧州グリーンディールは、政治主導の規制なのか、それとも社会課題解決に向けた規制なのか。

今回の発表の中で、ライエン委員長は「我々の化石燃料に依存した経済活動は限界に達している」と言い切る。だから、クリーンエネルギーや循環型社会など、「新しい社会体系に大きく変わる必要がある」と改めて訴えたのだ。

筆者の感覚では、こうした主張に対して日本人の多くが“一般論”としては理解を示すとは思う。だが、日本人のみならず、地球環境という大枠での社会課題を、身近な私事(わたくしごと)として捉えることができる機会は、日常生活の中でまだまだ少ない。

特にクルマに関しては、たとえば日本のハイブリッド普及率が高い背景について、メーカーが独自で行うアンケート調査による「ハイブリッドの購入動機」を見ると、「燃費のよさによる家計への負担軽減」のほか、「環境対応に少しでも関与している気持ちになれる」といった内容が上位を占める。

トヨタ「プリウスPHV」の技術展示。愛知県豊田市内のトヨタ会館にて(2020年3月、筆者撮影)

さらに一歩進んでEVの購入動機になると、300万円台の日本国産車であっても購入層の年収は高く、富裕層にとってのステイタスシンボルという意味合いが付加される。

本当に社会のためになる規制になるか?

また、2010年代後半からグローバル経済に大きな影響を与えているESG投資が、EV普及のドライバーになっていることは明らかだ。

ESG投資とは、「従来の財務情報だけではなく、環境、社会、ガバナンスの要素も考慮した投資」(経済産業省)を指す。菅政権の重要政策のひとつとして2020年12月に公表された「グリーン成長戦略」でも、同戦略はESG投資を強く意識したものであると明記されている。

こうしたグローバルでの社会状況の中で、欧州グリーンディールをどう捉えるべきなのだろうか。少なくとも、マスキー法やZEV法のような“単なる規制”ではないように筆者は感じている。

次世代に向けて“クルマと社会”、そして“人と社会”の関係がどう変わるべきなのか。欧州グリーンディール政策を軸足に、日本を含めたグローバルでの議論がますます盛んになりそうだ。

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