静岡県、リニアと熱海土砂災害で「ダブスタ」疑惑

同一委員の発言をリニアで黙認、土砂災害で批判

これに対して、難波副知事は「水がどう流れているのか現地に行って確認した。6倍とか7倍とかの流域面積の水がここ(「盛り土」付近)に集まっているとは思わない。2倍の水も集まっていない。せいぜい1割、1.1倍の水が来ている可能性はある。もし、逢初川の流域面積に6倍もの水が来たならば、崩壊する前に大水害となっている」と否定した。

昨年11月の県のリニア会議で発言する塩坂委員(左、筆者撮影)

14日の会見でも、「河川争奪」が正しければ、今後も大出水が起きる可能性があり、塩坂氏の見解をあらためて否定したうえで、難波副知事は「我々は(捜索活動などに支障を来すかもしれない)ここの安全性に責任を持っている」など厳しい口調で述べた。

今後の詳しい検証を待つことになるが、「降雨時の斜面安定の不確実性」をテーマとした修士論文を執筆するなど、この分野の専門家であり、国土交通省技官を務めた土木技術者の難波副知事が、塩坂氏の「河川争奪」論を否定したことの意味は大きい。

「非公表資料」を勝手に活用

そもそも、リニア静岡工区の工事差止訴訟に多大な貢献をしたのは塩坂氏である。訴訟参加を呼び掛ける反リニア団体が主催する学習会で講師を何度も務めている。JR東海から、「非公表」を条件に貸し出された資料コピーを勝手に使い、塩坂氏は、大井川直下のリニアトンネル掘削工事で「大量湧水の懸念」などを反リニアの運動家らに訴えた。

塩坂氏の指摘をそのままに、静岡新聞は「非公表」資料を使って、大井川直下の断層について、「地下水が大量に賦存(潜在的に存在)している可能性があり、高圧大量湧水の発生が懸念される」などと1面トップ記事(昨年9月10日付朝刊)で報道した。

この記事を皮切りに、静岡新聞は再三再四にわたって、大井川直下の「大量湧水の懸念」報道を繰り返し、流域の利水団体を巻き込む大騒ぎを演出した。本件は、2020年10月2日付記事(静岡リニア「JR非公表資料」リークしたのは誰だ)などで詳しく伝えた。

昨年10月30日に静岡地裁に提訴された「リニア工事差止訴訟」には、塩坂氏の主張がそのまま訴状に盛り込まれてしまう。

JR東海はこのような騒ぎを黙って見過ごすわけにはいかず、国の有識者会議で「ボーリング調査の結果で幅3m程度の小規模な区間で湧水量も少なく、大井川直下のトンネル掘削工事で大量湧水の可能性は小さい」など詳しく説明した。

次ページ47項目に含まれた塩坂発言
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