UAEがサウジアラビアに「反旗」で広がる不協和音 サウジの盟友離反が原油市場の攪乱要因に
原油価格が高値圏で推移している。
7月1日のニューヨークのWTI原油先物は1バレル=75.23ドルをつけた。昨年4月に記録的なマイナス価格をつけた後、40ドル前後で推移していたが、今年に入って騰勢を強め、ほぼ一本調子で75ドル前後の水準まで上昇してきた。これはコロナ禍前の2018年10月以来の高い水準だ。
原油価格高騰の理由は、各国の経済がコロナの影響から徐々に立ち直り、原油需要が回復する一方、産油国の思惑が食い違い、原油増産の先行きが不透明だからだ。
OPECプラスの結束に暗雲
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済減速に対応して、OPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなどでつくる「OPECプラス」は、2020年5月から日量970万バレルにも及ぶ協調減産を実施。供給量を絞って原油価格を下支えしてきた。
だが、こうして原油価格を支えてきたOPECプラスの結束に暗雲が立ち込めている。
OPECプラスは7月2日に閣僚級会合を開催。各国経済は回復に向かっているが、コロナ変異株の感染拡大などで原油需要が下振れすることも考えられる。そのため、協調減産の実施期間を2022年4月末から2022年末まで延長する方針などについて議論した。
減産延長で加盟国はほぼ一致したものの、意外なところから異論が飛び出した。原油埋蔵量で世界8位、世界の原油生産量の約4%を占める中東の産油国、アラブ首長国連邦(UAE)が増産を認めるべきだと強く反発したのだ。
UAEの「反旗」が驚きをもって受け止められたのは、同国がこれまでOPECの盟主であるサウジアラビアと一心同体と見なされてきたためだ。
UAEは、自国に割り当てられた減産量の算定基準は実態を伴っておらず、算定根拠の引き上げが承認されないのなら、2022年末までの減産延長は認められないと強く反発したのだ。その後、サウジがUAEに歩み寄ってUAEの増産を認めたものとみられるが、UAEがここまで粘ったのはなぜなのか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら