ベンツより高級「マイバッハ」3000万円のニーズ ベンツ以上ロールス未満の価格帯に見出す勝機
もう少しマイルドで、日常使いできそうなアストンマーティンやベントレーのスポーティセダンやSUVも同様の価格帯となる。さらにロールス・ロイスともなれば3000万円台からスタートし、上は6000万円を超えるモデルも存在する。
そして、そうした超高額車たちは、日本でもしっかり売れている。これら超高額ブランドの2020年1~12月の新規登録台数(日本自動車輸入組合調べ 車名別輸入車新規登録台数)は、ロールス・ロイスは226台、ベントレーが463台、アストンマーティンが196台、フェラーリが1085台、ランボルギーニが631台となる。2000万円オーバーのクルマが、1年間に2600以上も売れているのだ。
ちなみに、同年のシボレーの数字は444台、キャデラックは479台、ロータスは275台だ。シボレーには「コルベット」「カマロ」、キャデラックは「エスカレード」などの有名なモデルも存在するが、それらの価格は高くても1000万円台。
価格は2倍以上するにもかかわらず、シボレーやキャデラックとベントレーは同等の数が売れているし、フェラーリやランボルギーニは、もっとたくさん売れている。ロールス・ロイスは半分しか売れていないが、価格は2倍どころか3倍以上するモデルもある。
価格ベースで見ると、売上額はもっと大きい。なぜなら、ロールス・ロイスを新車購入する顧客は、数百万から1000万円以上ものオプションや特注仕様をオーダーするからだ。内容によっては、1億円近くにもなる。つまり、3000万円どころか、さらに高いクルマであっても、ニーズはしっかりとあるのだ。
「ベンツ」の名で売れるのは2000万円まで
しかし、価格が高ければ、なんでも売れるわけではない。価格に見合った高いブランド価値が求められる。そこでメルセデス・ベンツが持ち出したのが、「マイバッハ」だったのだ。
逆にいえば「メルセデス・ベンツ」の名前では、3000万円超級のクルマは売りづらいと判断した、ということだ。実際、メルセデス・ベンツの最上級モデルは、およそ2000万円である。
メルセデス・ベンツは高級車としての知名度は抜群ではあるが、あまりにも有名すぎるし、「Aクラス」のような300万円台からのエントリーカーや商用車もある。メジャーすぎるゆえに、所有する特別感を高めづらい。しかし、マイバッハの名前であれば別だ。かつての超高級車ブランドを投入する狙いが、ここにある。
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