トヨタが「EVに消極的」の見方が短絡的すぎる理由 電動化には超積極的だし着々と手は打っている

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「bZ4X」(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

このようにトヨタはBEVも積極的に販売していく体制を、すでに整えているわけだが、そんなトヨタを現実的、野心的と評したのは、単にBEVを世に出す予定だからというわけではない。「いかに出すか」「いかにビジネスとして成立させていくか」についても、より深く考えられていると見受けられるからだ。

続く5月に行われた決算説明会では、このbZシリーズについての言及があった。 曰く、開発のデジタル化を推進していくことで、投入までのリードタイムを従来比約30%、そして続くモデルではさらに10%、短くしたいという。最近ますます移り変わりのスピードが加速している世間のニーズに速やかに応えるためである。

ここではさらにPHEV、HEVと共通のプラットフォームでのBEVも検討するということが明らかにされた。これを聞いたときには正直、驚いた。なぜなら内燃エンジン車と共通プラットフォームのEVは生産性や搭載可能なバッテリー容量の点で不利というのが定説で、ゆえにトヨタを含む各社、専用プラットフォームを開発しているからだ。

現状、とにかくBEVは儲からない

このあたりは、まさにビジネスとしての計算だろう。現状、とにかくBEVは儲からないというのが定説である。特にリチウムイオンバッテリーの価格は高止まりしており、これを積むとなると当然、車両価格は大いに跳ね上がる。

分水嶺と言われる1kWh/100ドル(約1万円)を切るところまできたとしても、60kWh積むBEVはバッテリーコストだけで60万円、それに電気モーターやインバーター、PCUといった機器が必要になり、まだまだ割高。しかも、販売台数だってどれだけが見通せるのか、誰も皆目検討がつかないというのが本音だ。

世界中のメーカーがいつまでに何万台の販売をなどと数値目標を掲げているが、これらは多分にIR向けのアピールであって、まだそれだけの数のユーザー候補が手を挙げているわけではないということを忘れてはいけない。

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