1人1社制、学校斡旋…高校生就活の制度と問題点 高度成長期から不変の慣行に見直し議論進む

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2020年2月に、厚生労働省・文部科学省が招致する「高等学校就職問題検討会議」ワーキングチームにより高校生の就活の在り方の見直しの報告書が公表されました。1人1社制の見直しや、「民間就職紹介事業者」の活用の明示があり、高校生の主体性を尊重し、都道府県ごとに見直すよう提言がなされました。

すでに秋田県や沖縄県は、開始時から複数社(最大3社)応募可能だったが、2022年卒からは和歌山県が複数社応募を開始すると発表しました。また2023年卒には大阪府が複数応募を認める方向で検討していると報道されています。これに続く都道府県が現れることを期待しています。

高校生の意識も変化してきています。ジンジブが就職を考える高校生に「1人1社制に対して複数応募できたほうがいいか」質問したところ、「最初から複数応募が良い」との回答が35%ありました。「複数社応募できる時期を早めてほしい」が26%と合わせると3分の2に近い就職を希望する高校生が何らかの仕組みの変更を望んでいることがわかります。

企業の新卒採用担当者への「学校斡旋の仕組みで緩和・改善したほうがいい点」という質問では「生徒へのPR方法」や、「求人情報の公開時期」「1人1社制」などが多く答えられています。こうした声に応えるには、単に「学校斡旋」制度の改善だけではなく、就職情報会社や人材サービス会社が周知されもっとサービスを充実させ、学生への接点を増やすことが重要だと考えます。

高校就活のイメージが変わる

「コロナ禍/アフターコロナの就活」では、高校生にとってはWebでの情報収集、企業にとってはオンラインでの企業説明会や職場見学の実施、Webを使った情報発信がより重要になります。また新興企業にとって、ミスマッチを防ぐためにも職場の雰囲気、企業文化、社風、人間関係、働き方など求人票に書かれていない情報を届けることが非常に重要です。

これまで高卒採用と言えば、製造業やブルーカラーと言ったイメージが大きかったと思いますが、今後は、IT企業などの新興産業、ベンチャー企業など新たな人材層を活躍させたいと考える企業の高卒採用への参入も増えるでしょう。そのときに高校生が希望を持ってチャレンジできる就活環境を整えていくことが重要だと考えます。

今後の高校生の就職活動では、これまで通り高校が間に入り紹介を行う学校斡旋と、民間サービスを使いながら本人の希望を実現させる就活の併用ができたらベストではないでしょうか。

佐々木 満秀 ジンジブ代表取締役

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ささき みつひで / Mitsuhide Sasaki

大阪府出身。高校卒業後、運送会社に就職。21歳でトラックを購入し、個人事業での運送業を始める。23歳で求人広告会社に就職、営業部長を経て常務取締役に。1998年、同社の倒産をきっかけに起業し、株式会社ピーアンドエフを創業。株式会社ジンジブを設立後、高卒就職を支援するサイト『ジョブドラフト』を開始。自身の就職活動の原体験をきっかけに、高校生の将来の選択肢を拡げるため全国へ就職、採用、教育支援サービスを広げている。

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