歴史的な国際法人税制合意実現のカギはEUが握る 全会一致が原則のEUから3カ国の不支持
バイデン米政権と同盟国は1日、よりバランスの取れた国際法人税制の推進で大きな勝利を収めた。ただ、長年の野心的な計画を完了させるにはなお大きな障害を幾つか乗り越える必要がある。
経済協力開発機構(OECD)主催の協議で、130の国と地域が最低法人税率の設定や多国籍企業からの税収を分け合う計画を支持した。
法人税率「15%以上」、130カ国が支持
イエレン米財務長官が「経済外交にとって歴史的な日」と呼ぶなど各国政府から歓迎の声が相次いだが、決着にはまだ程遠い。少数の国が今回の支持表明に参加しなかった。これには欧州連合(EU)に加盟する3カ国が含まれ、これらの国がEUによる計画の実行を阻止する恐れもある。
また、米議会も大きな障害となり得る。米国の正式な参加には議会承認が必要なためだ。民主党は辛うじて維持している多数派の地位を来年の中間選挙で失うリスクもある。
バイデン大統領は声明で、「条件を公平にし米国の競争力を高めるものだ」と述べ、議会に税制案を承認するよう呼び掛けた。多国籍企業が「米国などで得た利益を税率がより低い国々に隠すことで応分の負担を回避することはできなくなる」とした。
1日の発表では、一部の国がテクノロジー企業の収益に一方的に課している税金をいつどのように撤回していくかなど、重要な問題が未解決のままとなっている。