日本中を太陽光パネルが埋め尽くす未来の現実味 脱炭素達成に向けた厳しい道のり
日本中の住宅の屋根や農地を太陽光パネルが埋め尽くす。菅義偉政権が掲げる2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標の達成に向け、そうしたシナリオも荒唐無稽ではなくなりつつある。
中長期のエネルギー政策の方針「エネルギー基本計画」の見直しを進める経済産業省は、50年時点の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を約5-6割とすることを議論の参考値として示してきた。19年度の日本の再エネ比率は18%だった。
日本の太陽光発電能力は世界3位
12年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度により、特に太陽光発電が急拡大した。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、太陽光発電能力は20年時点で中国と米国に続き世界3位。国土面積1平方キロメートル当たりの導入量で比べた場合には、日本は主要国の中で最大だ。
それでも、カーボンニュートラルを達成するためには再エネの追加導入が不可欠だ。コンサルティング会社ライスタッド・エナジーは電子メールで、達成には太陽光発電の「屋根向け拡大と農地活用は必須」と指摘。また、「貯水池上などに設置する浮体式ソーラーももっと活用できるかもしれない」としている。
国内では、20年までに累計で原発67基に相当する約67ギガワット(GW)の太陽光発電設備が導入された。これに対し経産省は5月、「参考値」を達成するためには50年までに260-370GW規模の太陽光が必要との見方を示した。