組織が「エースじゃない従業員」に求めていること キャリア30年の女子アナ語るキャリアの考え方

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私にキャスティングの決定権はありませんが、こうしたバランスを整えて、できるだけ若手にその時々のふさわしいアドバイスをしてあげたいと考えています。バラエティをやっている人もニュースを正確に読めるようになってほしいし、スポーツ番組では伝統の箱根駅伝中継もあるしサッカー中継も熱い。

それぞれのジャンルの基礎を全員に身につけてもらって、そこから本人の志向性や会社が育てたい道などをトータルに判断してキャスティングしていくことで、人気にでこぼこがあってもアナウンス部全体のパワーアップを図っていくことができると考えています。

組織の中に必ずあなたの役割がある

テレビ局に限らずどの会社にも花形部署があり、花形エースがいると思います。今、自分は活躍できていないと嘆いている人達も、組織の中には必ずあなたの役割はあるはずです。

私の経験を告白すると、実は若手の頃、バラエティ番組も担当してみたかった。楽しい演出と素敵な衣装、みんなが笑顔になれる夢のような世界。当時は女子アナブームの真っただ中で、フジテレビの女子アナ三人娘(有賀さつきさん、河野景子さん、八木亜希子さん)に対抗すべく、開局40周年記念企画としてDORAという女子アナ歌手ユニットも結成されました。抜擢されたのは私の2年上の永井美奈子さん、1年上の米森麻美さんときて、私を飛ばした1年下のヤブちゃんこと藪本雅子さん。見事に私の上と下で(笑)。

思えば、20代の私は、広報のPR番組や、早朝番組、スポーツ番組などで放送の基礎を叩き込まれる現場を渡り歩いていました。ドラマのPRとなれば、台本を全部読んで役者さんにいかに質の良いインタビューができるかに悩み、早朝番組ではできる限り台本を覚えるよう指導されて夜の寝つきが悪くなり、冒頭1分のアドリブコメントのネタ探しに四苦八苦し、スポーツの取材では現場のルールを守りながらパンチの効いた選手の声もとってこなければならない。

そうこうしているうちに、報道番組に移って、法律や警察用語を確認しながら取材で抜け落ちていることはないか、中身のある取材になっているだろうかと、常に手探り状態で走り続けていました。正直なところ、どの分野も私にとってどこで満足したらいいのやら全く分からず、全力投球で臨むしかありませんでした。

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