投資家が注目する「社員クチコミと働き方の関係」 従業員エンゲージメントなど非財務指標に脚光

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2021年4月にも最新の研究論文が発表されており、当社のクチコミデータから人工知能を用いて算出した「働きがい」「働きやすさ」に関するデータが、将来の業績や株価と強い相関があることが改めて証明された。

簡単に本研究内容を紹介しておくと、以下の3点が証明されている。

1 働きがい・働きやすさが改善されると2~3年後の売上高変化率や売上高営業利益率が改善される。
2 企業財務のなかでもROEやサステイナブル成長率が改善されると、1~2年後に働きがいが改善される。
3 働きがい・働きやすさが改善されると、1年後の株式パフォーマンスにプラスの影響を及ぼす。

こうした研究結果からも、投資家が社員クチコミなどの非財務の情報にも着目して投資をしているということは、とても理にかなっている。経営者にとっては、非財務の指標である“働きがい”“働きやすさ”も意識する必要がこれまで以上に出てきている。

ESG投資対策にもつながる人的資本経営

ヘッジファンドが社員クチコミなどのオルタナティブデータを投資のアルゴリズムに組み込むと同時に、企業サイドもIR(投資家向け広報活動)対策として人的資本などの非財務情報を開示するケースが増えてきた。

「ESG投資」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないだろうか。ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の略で、ESG投資は、それらに配慮している企業への投資である。ESG評価の高い企業は、社会的に意義のある事業であり、持続的な成長が可能と判断されるため、投資対象となりやすい。

日本国内では2017年に公的年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、ESGを重視した株式インデックスを採用したことが大きな話題となった。

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