相次ぐ「音声定額」導入、通信料はどうなる? 携帯大手の胸算用はいかに

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新プランの導入で、携帯会社のARPUはさらに押し下げられそうだ。あまり通話しないユーザーで値上げとなるケースもあるが、毎日話すヘビーユーザーにとっては大幅な値下げになる。ドコモの加藤薫社長も「当初は減収要因になるだろう」と説明する。

単なる値下げではない

それではなぜ、各社は定額プランの導入に動いたのか。理由はずばり、新プランによって一時的に押し下げられたARPUが、その後、上昇に転じると見ているからだ。

LINEなどのメッセージアプリの台頭で、通話時間は減少している

最近、国内ユーザーが5000万人を突破したLINEをはじめ、無料通話・メッセージアプリの人気はすさまじく、今後も携帯電話ユーザーの通話時間が減少するのは明らか。音声定額プランの導入には、こうした流れに歯止めをかける狙いがある。

また、ガラケー(従来型携帯電話)ユーザーの間で「スマホには無料通話分がないので乗り換えたくない、という声が多かった」(ドコモ幹部)という事情もある。音声定額の導入でスマホへの乗り換えを促すことで、データ通信料を増やそうという発想だ。

この点で、各社が音声定額プランと併せて発表した新しいデータプランの貢献度が注目される。家族でデータ通信量を分け合えるほか、個人でも複数の端末でデータを融通できるようにした。

こうした利便性と引き替えに、各社ともデータ量1ギガバイト当たりの料金を大幅に値上げしている。ドコモの場合、既存のデータ量7ギガのプランは月額6156円、1ギガ当たり879円だ。これと比較すると、新プランは2ギガで3780円のため、1ギガ当たり1890円と料金は倍以上だ。さらに、高齢者向けのらくらくスマートフォンに限っては、1ギガ当たり1万円と割高な設定となっている。つまり、今回の料金プランは通話の値下げとデータの値上げを盛り込んだものといえる。

契約数にARPUを掛け合わせたものが、携帯会社の通信収入となる。新プランでARPUを早期に上昇基調へ転換できるか。各社とも2014年は勝負の年になりそうだ。

(撮影:梅谷秀司 「週刊東洋経済」2014年7月26日号<7月22日発売>の「価格を読む」に加筆)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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