長期「ひきこもり経験者同士」が結婚で得た居場所 こうやって唯一の“帰る場所"を作り上げた

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ひきこもり経験者同士の出会い、そして結婚生活とは?(イラスト:堀江篤史)

10年以上に及ぶひきこもり生活を終えて、昨年に結婚を果たしたカップルがいる。関東地方で新婚生活を送っている高柳啓介さん(仮名、59歳)と美香さん(仮名、46歳)だ。

ひきこもりといっても軽い意味ではない。啓介さんは3級、美香さんは2級の精神障害者保健福祉手帳を持っている。出会いの場所は就労移行支援事業所だ。

啓介さんが美香さんと出会うまで

現在は1000㏄のバイクを乗り回しているという啓介さんはガッチリとした体格。俳優の村田雄浩に少し似ている。責任感も強く体力に自信があったからなのか、ITエンジニアとして長年働いていた大手メーカーでの過労が原因でうつ病を発症した。

「43歳のときですから社会人としていちばん脂が乗っている時期でした。週3日は会社に泊まり、3日はホテルに宿泊。残った1日で一人暮らしの家に帰って洗濯をまとめてやる、という生活を続けていたのがよくなかったのでしょう。気分がどうしようもなく沈み込むようになり、外に出られなくなってしまいました」

2年ほどは貯金を食いつぶしながら自宅にこもる日々が続いた。両親はすでに他界していて、医師として忙しく働く兄とは疎遠になっていた。

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「食料を買いに行くお金も体力もなくなり、最後の頃は水道水だけで生きていました。骨と皮だけのような体になってしまい、もう死ぬしかないと思って身内である兄に別れの電話をかけたのです」

久しぶりの弟からの電話内容に驚いた兄が駆けつけてきて、精神科への緊急入院の手続きをしてくれた。退院後の数年間は兄家族の住む家に居候をさせてもらい、就労移行支援事業所への入所を決めたのは55歳のときだった。

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