ポルシェが「車を売らない説明のプロ」を育てる訳 来店のハードルを下げ専門的な知識を伝えていく

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これまで顧客と販売店の唯一の接点であったポルシェのセールスパーソンは、「来店」「試乗」「商品説明」「見積」「契約」「登録」「納車」「アフターフォロー」といった、販売にかかわるすべてのプロセスを担当していた。

ミドルクラスSUVである「マカン」の追加や、プラグインハイブリッド車の導入などにより、ポルシェのラインナップは近年、急速に拡大している。加えて、ナビゲーションや車両制御を統合したポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム(PCM)など各車の機能が多彩になる中で、現場スタッフが蓄えなければならない知識量は膨大である。

そうした状況下でさらに、まったく新規の電動パワーユニットを備え、メカニズムも機能も異なるタイカンが加わったことで、より高度な専門的知識が要求されることになった。そこで、前述の販売プロセスから「商品説明」に特化した新しいポジションとして、販売手続きに関与せず販売目標も持たないポルシェ プロという役割がポルシェのドイツ本社により新設されたのだ。

現在、日本には5人のポルシェ プロが存在する。うち1人は群馬県のポルシェセンター高崎前橋に在籍、そのほかの4人がPorsche NOW Tokyoに所属する。この中から佐々木ヨハネス陽一氏と、家木大輔氏に話を聞いた。

「とくにタイカンに関しては日本で最も詳しい」

――ポルシェ プロは数が限られているようですが、どんな方が選ばれたのでしょう?

「いくつかのディーラーに声がかかり、所属するセールス担当者の中からとくに製品の説明を得意とするスタッフが選ばれました。ポルシェセンター高崎前橋のスタッフは長年のポルシェ経験を有する元トップセールス、Porsche NOW Tokyoのわれわれはレース経験があったり、プロスポーツの経験があったりします。昨年5月からは競合ドイツ・ブランドでの経験を持つ女性スタッフが加わりました」

――どんな訓練を?

「テクノロジー研修、Proフォーラム、プロダクトディープダイブ、コーチングテクニックなど、ドイツ本社が設計したトレーニングメニューをこなして日々レベルアップを図っています。とくにタイカンに関しては、日本で最も詳しいスタッフだと自負しています」

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