ポルシェが「車を売らない説明のプロ」を育てる訳 来店のハードルを下げ専門的な知識を伝えていく

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佐々木氏と家木氏(筆者撮影、撮影時のみマスクを外してもらいました)

――Porsche NOW Tokyoにおける接客とは?

「10代から高齢の方まで幅広い年齢層の方々が来場されていますので、数年後に顧客になるかもしれない若い方や、ポルシェ・オーナー以外の方にファンを増やし、ポルシェを長期的にフォローしていただくことを目指しています。セールス担当者と違い、販売目標台数に追われずにポルシェの魅力を存分にお伝えできるのがポルシェ プロの優位点です」

「私(佐々木氏)がセールス時代にマカンを販売したお客様が、新居を新築したタイミングでタイカンを購入されました。まだ日本にはタイカンの正式な情報がそろっていない中で、海外からも情報を収集し、駐車場のサイズ、充電ポートの位置、必要な電力量、配線工事などを決定するサポートをさせていただきました。こうしたプロセスは、ポルシェ プロとして唯一無二の経験になり、大きな達成感が得られました」

――有明といえば、2020東京オリンピックの中心地。延期の影響は大きかったですか?

「はい、しかし昨年のオープン時は、タイカンの実車を発売前に確認できる日本唯一の場所でしたので、北海道から鹿児島県まで、日本全国からポルシェ・ファンに限らず、最新EVに関心をお持ちの方々も訪れていただき、最初の2カ月間は想定を超える来場数となりました。ポルシェ初のEVについて、ご興味を持ってくださる方々にきちんとお伝えできたことは幸いでした」

スポーツドライビングを好むお客の水準に見合うように

――ほかの自動車ブランドにも、直接販売には関わらず商品説明に特化したスタッフというコンセプトは存在しますが、ポルシェ プロの特徴はどんな点?

「他ブランドでは、とくに試乗対応に力を入れているケースが多いと認識しています。ポルシェ プロは、“こういう走り方をするとクルマはこう加減速して、こう曲がる”といった、より具体的な説明ができるプロのドライビング・インストラクターのレベルを目標としており、スポーツドライビングを好むポルシェのお客様の求める水準に見合ったご案内を心がけています。ほかの欧州ブランドとポルシェを比較検討される方もいらっしゃいますので、他ブランド含め同じ走り方で試乗して、走りの違いを体感していただくよう勧めています」

――遠方からの購入希望者のフォローは?

「鹿児島県からの来場者様が、Porsche NOW Tokyoでタイカンを大いに気に入ってくださり、居住地の最寄りではなく、弊社の拠点であるポルシェセンター目黒で購入されたケースがあります。決め手は、われわれがタイカンの性能や機能について説明するノウハウを豊富に持っていたことです。納車後は近隣のポルシェセンターで日常のメンテナンスを実施いただいています」

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