アサヒビールの挑戦:若者は「氷点下のビール」に振り向くのか?《それゆけ!カナモリさん》
■若者好みの味は0℃?
氷点下の温度帯(-2℃から0℃)の「アサヒスーパードライ」を飲めるバーが銀座にオープンした。それは「ビール離れ」といわれる若者向けの取り組みだという。「氷点下の『スーパードライ』を体感できる!『アサヒスーパードライ エクストラコールドBAR』」(同社ニュースリリース)
「氷点下」という温度に行き着いたのも、同社が若者対策を模索しての結果である。
通常、スーパードライの飲用推奨温度は4℃−8℃程度。しかし、0℃で『アサヒスーパードライ』をお飲みいただいた場合、特に20代の若い層を中心に、ブランドの特長である「味のキレ」「シャープさ」「のどごし」などを強くお感じになる方が多くいらっしゃることが明らかになりました。(アサヒビール調べ)とのことである。
これからの暑い季節、キンキンに冷えたスーパードライがノドを駆け抜けていく感触を想像しただけで、思わずノドがゴクリと鳴ってしまいそうだ。いや、本来の筆者なら想像している暇があるなら、5月21日のオープン日に駆けつけていたはずだ。禁酒中の身が恨めしい……。
未知の領域0℃。キンキンに冷えた味わいに興味は湧くが、考えてみれば、そんなに冷たかったら味わいもないのでは?と思うが、そこは「若者対策」。オジサンの好みにかまってはいられないのだろう。だが、若者はなぜ0℃のスーパードライの味を好むのか。恐らく、それを好むのではない。普通の温度の味が嫌いなのではないか。なぜって、それは「苦いから」。
飲み会の乾杯準備で「みんな、生でいいよね?」はもはや禁句だ。刺身を食べながら、「カシスグレープ」を飲んでいるからといって、「それって……」というなど言語道断。若者と飲みに行く際の最低限のマナーである。それほどまでに若者はビールを飲まない。もう10年もすれば、ビール派の方がマイノリティーになっているかもいしれないという勢いだ。
そここそが、アサヒビールの危機感なのだ。正直なところ、「味わってくれなくていい!のどごしさえ楽しんでくれて、それがクセになるなら!」という思いなのだろう。0℃でクセになり、家飲みで通常の4℃?8℃を飲んでも気にならなくなる。そんな成長過程を期待しているのかもしれない。
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