アサヒビールの挑戦:若者は「氷点下のビール」に振り向くのか?《それゆけ!カナモリさん》

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 懐かしの横山光輝の漫画『伊賀の影丸』に、「村雨兄弟」というキャラクターがいる。毒の使い手となるために、幼少の頃から毒を少ずつ飲まされて育ち、毒に対する耐性を身につけているのだ。

 さて、初めてビールを飲んだときのことを覚えているだろうか。「その時、何歳でしたか?」とは聞かない。「お酒は二十歳から」だから当然だ。そして、その時の感触を覚えているだろうか。「うっぇ~苦っが~い!!」と、結構、衝撃的ではなかっただろうか。

 それがしばらくすると、あら不思議。平気で飲めるようになって、オイシイと思うようになる。それを仕込むのは親だったり、先輩だったり、上司だったりと様々であるが、ともかく村雨兄弟の如く、少しずつ耐性を付けて立派な毒使いならぬ、ビール飲みになるのが人の成長でもある。

■「モノ」ではなく「コト」としてのビール

 斯様に、いっぱしのビール飲みになるには「修行」がいる。

 しかし、昨今、ムリに勧めれば「アルハラ(アルコールハラスメント)」と指弾される(確かにムリはよくない!)。かつて自分が受けたような「指導」などはできない。また、めっきり世代を超えた飲みの機会も減少している。

 指導や修行だけではない。ある種の「あこがれ」に背中を押されて、自主的に手を伸ばす(自習?自主練習?)ことも減ったのではないか。

 「苦い」と思っても、「これがオトナの味なんだ」と「修行」する動機が起きないのではないだろうか。ムリに苦さを我慢して「オトナ」になろうと思うほど、昨今の若者には「オトナ」の姿は憧れるほど魅力的に映っていないだろう。「ビール修行」の伝統文化は崩壊しているのだ。

 2008年10月にネットエイジアが発表した調査「ビールに関する調査~まずはビール、20代女性では27.1%~」によると、ビールが「好き」と答える30代、40代はそれぞれ、41%、43.1%なのに対し、20代ではたったの23.6%しかない。

 0℃のスーパードライは、味よりものどごしが強調される温度。その「味わい」にフォーカスしてみれば、そのスッキリ加減は「新ジャンル」を想起させないだろうか。

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