中国は貸出鈍化が成長鈍化を意味しなくなった 重要な景気指標クレジットインパルスの意味

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

経済構造の中心が不動産・建設業からテクノロジー企業へシフト

中国ウオッチャーは景気循環の指標として、国内総生産(GDP)に対する新規貸し出しの伸びを示す「クレジットインパルス」に注目する。国内の不動産開発企業やメーカー、地方政府は新規の借り入れをてこに投資を進め、雇用や工業用製品・商品の輸入需要を後押ししてきた。

これが生み出すのは、オーストラリアのGDPから新興国通貨の強さに至るまで、あらゆるものを関連付けるグローバルな産業サイクルだ。中国のクレジットインパルスと歩調を合わせて米国債利回りが上昇する傾向があったり、S&P500種株価指数が下がりやすくなったりする。

中国当局がコロナ対応策の段階的縮小を探る中で、同国のクレジットインパルスは昨年終盤にピークを打ち、それ以降は低下傾向にある。しかし、これが国内経済の減速を必ずしも意味するわけではない理由を幾つか挙げる。

民間セクター

中国人民銀行(中央銀行)は昨年、中小企業向けの貸し出しに限定した金融機関への資金供給を大きく増やした。公式統計や独自データによると、これで中小企業向け与信の割合は大幅に高まったことが示されている。

民間企業は一般的に同じセクター内の国有企業に比べて効率性が高いため、民間投資は中国経済の生産力をより大きく高めることにつながることから、この点は非常に重要だ。

次ページ与信指標には表れない内部留保とエクイティーファイナンスの増加
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事