松本人志「バカライター」ツイートに納得できる訳 もはやテレビは世帯視聴率で論じる時代じゃない

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ネットメディアが世帯視聴率を使い続ける2つ目の理由は、「低視聴率を報じたり、それをもとに不振の理由を書いたりする記事のほうが注目を集めやすい」から。エンタメコンテンツの多様化に加えて、大容量化や全録など録画機器の発達、TVerなどネット視聴の浸透などによって、世帯視聴率はジリジリと下がり続けているため、メディアは低視聴率記事を報じやすく、視聴者も反応しやすくなっているのです。

残念なことに時代錯誤な数値であることをわかっていながらも、自社利益を得るべく確信犯的に世帯視聴率を使用しているネットメディアは少なくありません。いずれにしても世帯視聴率だけを掲載しているメディアも、それをベースに「成功」「失敗」と論じる書き手も、信頼性に欠けるのは間違いないでしょう。

「2500万人が視聴」の数値も怪しい

前述したように日本テレビとフジテレビは13~49歳を重点ターゲットに設定し、それぞれ「コアターゲット」、「キー特性」と呼んでいます。また、TBSは幼児と小学生を含む4~49歳を「新ファミリーコア」と呼んで番組制作を進めていますが、テレビ朝日の設定は公表されていません。これは「中高年層向けの番組を量産して世帯視聴率を獲得してきた」というテレビ朝日の極端な編成戦略によるものであり、他局とは大きく異なる基準で番組制作しているのです。

このように重点ターゲットの設定が局によって異なるのですが、そもそも視聴率は広告指標であり、一般の人々に向けたものではないため、各局で違いがあって当然であり、統一する必要性はありません。実際、視聴者には関係ない指標であるうえに、局によって基準が異なるからなのか、松本さんのツイートに端を発する一連の流れをニュースとして扱う情報番組やワイドショーは、ほぼありませんでした。

もしネットメディアが今後も視聴率報道を続けていきたいのなら、「各局の基準に合わせたうえで報じていく」という形がベターでしょう。

また、このエピソードには、さらに続きがあります。16日夜、複数のネットメディアが「キングオブコントの会」が放送中にツイッターの国内トレンド1位となり、「全国視聴人数が約2506万5千人(推計)を記録した」ことを報じました。

まるで「世帯視聴率は6.8%でも、これだけ多くの人々が見たんだよ」というフォローのように見えるのではないでしょうか。ただこれは、「1分以上到達人数」という注釈がつくツッコミどころだらけの数値。つまり、「“1分以上”見ていた人が約2500万人いた」ことに過ぎないにもかかわらず、ほとんどのメディアはその微妙な基準にふれなかったのです。

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