なぜ日経平均はNYダウに比べ「出遅れて」いるのか ワクチン相場に期待、今後は再度浮上も?

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今後、日経平均の行方を占うためには、アメリカの長期金利に加えてナスダックの株価動向にも、より注目したいものだ。直近では6月14日に終値ベースで最高値を更新した(1万4174ポイント)が、ザラバベースでの1万4211ポイントはまだ抜けていない。これを明確に抜くようなら、日経平均も2月高値である3万0467円を突破、3万0500円~3万0700円を目指す可能性が残っている。

日経平均も「ワクチン相場」を期待

足元では、6月4日以降アメリカの10年国債利回りは、同国の雇用統計をきっかけに6月10日にかけて1.442%まで下落した。こうしたなか、年初から同じ値動きをしていたナスダックと日経平均の株価の値動きがデカップリング(連動性がなくなること)し始めた可能性もある。

ナスダックは長期金利下落を素直に上昇で反応したが、日経平均の動きは鈍く、モミ合い(ほぼ横ばい)での推移となっている。これは、日本が米中冷戦に伴う地政学リスクを受けやすく、海外投資家などが日本株式への積極的な投資を控えてることも理由のひとつにあげられるかもしれない。イギリスでのG7を終え、欧米の先進国と日本がどのように中国と対峙していくのかについては注意深く見守る必要がありそうだ。

それでも、出遅れを解消できそうな要因も出てきた。足元では、日本でも遅れていた国内のワクチン接種がやっと軌道に乗り始めている。7月末の高齢者2回接種目標も視野に入り、10~11月の全希望者へのワクチン接種終了の目標も立てられた。マーケット参加者は、日本の「ワクチン(リ・オープニング)相場」に期待しているようだ。

なお、絶対的な値上がり益を意識するなら、やはりアメリカの株式(NYダウやナスダックなど)が大きく崩れないことが前提となるだろう。ただし現状ではアメリカ株よりも日本株のほうが割安とみており、下落リスクは限定的とみている。

筆者もさらなる日本のワクチン相場に期待したいが、個別ではここからはきめ細かな銘柄選択が必要になると思っている。慎重に投資すべき時間帯(5~9月)に入ってきたとみているからだ。それについては、過去2回のコラム「日経平均株価は『3月に売れ』だったかもしれない」「今年の日経平均株価の高値はいくらになるのか」をぜひお読みいただきたい。

なお長期投資の観点からは、あくまで理想だが、株価がコロナショック前の水準以下か、長期間低迷していた業種や銘柄のなかから、足元はもたもたしていても、今後マーケットコンセンサスを上回る実績を継続してたたき出す業種や企業に、分散してじっくり投資すべき時期に入ってきたと考えている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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