なぜ日経平均はNYダウに比べ「出遅れて」いるのか ワクチン相場に期待、今後は再度浮上も?

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まず、3月の日経平均は、NYダウの前月比6.6%上昇(ちなみにTOPIX=東証株価指数も同4.8%上昇)に対して、同0.7%の上昇にとどまった。この主な理由は、日本銀行がETF(上場投資信託)の買い入れをTOPIX型のみとし、日経平均型ETFの買い入れを中止したことが大きい。

これまで株価を支えていた日銀による日経平均型ETF買いがなくなったことで、上値が重くなったとみるべきだ。もちろん、今後いつまでTOPIX型の買い入れが続くのかも気になるところだ。

日経平均の急落には独自の要因も

次に4月の日経平均は、NYダウの前月比2.7%上昇に対して逆に同1.3%も下落してしまった(TOPIXも同2.9%下落)。これはアメリカではジョー・バイデン大統領が3月30日に発表した巨大インフラ投資政策(「アメリカ雇用計画」)が大きかったいっぽう、日本国内では新型コロナウイルスによる3回目の緊急事態宣言の発出(4月23日発表、4月25日から5月11日まで)が重石となった。また企業決算ガイダンスも、期待されていた中国関連企業などを中心に想定を上回るほどではなかったことも理由に挙げられる。

さらに5月の日経平均は、NYダウの前月比1.9%上昇(TOPIXも同1.3%上昇)に対して、同0.2%の上昇にとどまった。この理由は、アメリカのインフレ懸念による長期金利の高止まりや、ビットコイン急落に加え、日本では世界の投資家のベンチマークになっているMSCIの定期銘柄入れ替えがあり、日本の銘柄が29銘柄除外になるなど需給面での影響を受けたためだ。

日経平均は5月11日から13日までの3日間の下落幅(終値ベース)はなんと2070円、率にすると7.0%の急落となったのは記憶に新しい。MSCIの銘柄入れ替えは5月12日に発表され、5月27日の終値で反映されたが、「新規採用ゼロ、除外29」の発表でマーケット参加者は約8200億円の資金流失が起こるとただちに想定、結果的に13日は需給不安から日経平均は2万7385円(ザラバ安値)まで急落した。

この日を起点に株価はV字型に反転し、5月の月間騰落率はなんとかプラスに転じたわけだが、このように3~5月の下落要因をみていくと、日銀のETF購入方針の見直しなど、構造的な要因もあるため、ひとくちに出遅れとはいえない部分があることを、ご理解いただけるのではないか。

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