「ランドクルーザー」14年ぶりの新型に見る課題 ラダーフレーム、非電動化…守る“らしさ"

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パワートレインには、新開発の3.5リッターガソリンと3.3リッターディーゼル、2つのV6ツインターボエンジンを採用。従来型のV8エンジンからダウンサイジングしたことで、エンジンの全長が短くなり、200系のフロントヘビーな動きを大きく改善したという。

電動化待ったなしの今、あえてハイブリッドにしていないのは、タフネスとどんな環境でもメンテナンスができる整備性を考えてのことだろう。

トランスミッションは、どちらも新開発のDirect Shift-10AT(10速AT)を採用。エンジンの効率化やATの多段化、車両全体で200kgにも及ぶ軽量化により、トヨタは「車両使用時の年間CO2排出量をグローバルの全台数分で約10%低減できる」と試算する。

ランドクルーザーの要である悪路走破性については、サスペンションの基本性能(ホイールアーティキュレーション:タイヤの浮きづらさ)の向上に加え、世界初となるE-KDSS(Electronic Kinetic Dynamic Suspension System)を搭載し、接地性を向上。

ドライバー視点で障害物を可視化する「マルチテレインモニター」や、走行路面を判定して自動でモード選択をする「マルチテレインセレクト」も採用された。

車両の直下が透けたように見えるマルチテレインモニター(写真:トヨタ自動車)

予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」も、もちろん装備。歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼)を検知し、衝突回避または被害軽減に寄与するプリクラッシュセーフティに、交差点での対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者検知機能、ドライバーによる回避操舵をきっかけに操舵と車線逸脱抑制をサポートする緊急時操舵回避支援機能が追加になった。

駐車場での前後障害物や後退時の接近車両、および歩行者を認識し、事故防止に寄与するパーキングサポートブレーキも新採用されるなど、安全装備は最新水準となる。

先代に乗って「運転が予想に反して疲れる」

オンライン発表会でチーフエンジニアの横尾貴己氏は、「年を追うごとに厳しくなる燃費や排気規制への対応や、より高い衝突・先進安全性能の確保に限界を迎えていたのは事実です。また、運転のしやすさについても改善のご要望をいただいておりました」と語る。

また、“世界の8割の道がある”といわれるオーストラリアで200系を自らドライブした経験により、「ランクルがいかに愛されているかという感動と、運転が予想に反して疲れるという2つの気付きがあった」と振り返った。

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