これが「楽天エアアジア連合」結成の舞台裏だ 日本法人トップが語る"捲土重来"への布石
日本の航空法には、国内航空会社に対し、外資の出資比率上限を発行済み株式総数の3分の1(33.3%)までにとどめるという規制があります。ですから、新生エアアジア・ジャパンはエアアジアの出資比率を33%(議決権ベース)と想定して、残りの67%を出してくれる日本企業を探しました。航空系や就航先と想定している空港に関連するところなど、いろんな企業に声をかけました。
――楽天との交渉は?
楽天は三木谷浩史会長兼社長がトニーCEOと個人的な親交があり、そのつながりがきっかけになったようです。初めて話を持ちかけたのは、2013年の終わりごろか2014年の年明けだったと思います。具体的な交渉はトニーと三木谷氏との間で進んだようで、私は途中、ほとんど関与していません。楽天と正式な出資契約を結び、調印に至ったのは新生エアアジア・ジャパンの設立を発表した2014年7月1日の当日でした。
トヨタにも声を掛けた
――ノエビアとアルペンは、さらに意外な顔ぶれです。
(現時点ではまだ最終決定していないものの、中部国際空港は拠点空港として有力な候補の一つなので)関西や中部方面の企業には、結構声をかけました。
その過程で、神戸に本社があるノエビアと、名古屋を本拠とするアルペンが関心を示してくれた。両社の社長は航空機の操縦資格を持っていて、飛行機や部品、整備などの話ができて、私の第一印象はかなり好感触でした。
楽天にしてもノエビアにしてもアルペンにしても、取締役会にかけて合議したうえで方針を決めるというタイプの企業ではなく、トップの意思で大枠が決まるというマインドを持っています。それが今回の出資につながったのだと思います。
余談ですが、トヨタ自動車にはかなり早い段階で話を持ちかけました。トヨタの交渉担当者が「個人的には関心はあるが難しいだろう」と話したのが印象的でした。
――プライベートエクイティファンドのオクターヴ・ジャパンも大口出資しています。彼らは新生エアアジア・ジャパンの株式上場によるエグジット(出口戦略)を求めているのでしょうか。
オクターヴ・ジャパンのマイケル・サング・キム代表が、エアアジアグループとビジネス上のつながりがあったことが出資につながりました。準備会社の事務所も借りましたが、(エグジットの)意向ははっきりわかりません。
――楽天をはじめ出資企業との人的な関係は?
一部の大株主は役員としてボードメンバーに参画してもらいます。楽天からは役員を受け入れることになると思います。一方で、スタッフ人材の受け入れはありません。「餅は餅屋」として、航空会社の運営はわれわれに任せてもらいます。