テスラの練り上げられた作戦に脱帽してしまう訳

EVの販売台数を数えているだけでは真価を見誤る

まず「マスタープラン」によって明かされたイーロンの思惑は、次の4つに集約されます。

①最初に高級スポーツカーを作る(ロードスター)
②その売上で手頃な価格の車を作る(モデルS、モデルX)
③その売上でさらに手頃な価格の車を作る(モデル3)
④以上の手順を繰り返しながら、ゼロ・エミッションの発電オプションを提供する

まず①として、2008年に高級EV「ロードスター」を完成させると、レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピットといったセレブたちに支持され、マーケットからも大きな注目を集めました。

そして②として、2012年に高級セダンの「モデルS」、2015年に高級SUVの「モデルX」が完成します。③として、2017年にテスラ初の大衆車「モデル3」を500万円強で発売、量産化に向かいました。現在テスラの主力はこの「モデル3」と、2020年に発売されたコンパクトSUVの「モデルY」です。

また前述のとおり、④として、太陽光発電のソーラーシティも、テスラの売り上げの10%を占めるまでに成長しました。

「富裕層向け」から「大衆向け」に広げた

続けて、テスラのマーケティング戦略/戦術を見てみましょう。

テスラのマーケティング戦略をSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の観点から分析してみましょう。

テスラの当初のセグメンテーション・ターゲットは「テスラの哲学に共感する富裕層」でした。そして現在のテスラは「富裕層向け」のみだったラインナップを「大衆向け」にも広げていく途上にあると言えます。

プロダクト(Product)は高級EV、高級スポーツカーからスタートしました。プライス(Price)はプレミアムプライシングであることが自明です。

流通(Place)においては、インターネットを通じた直販という独自性を持っています。これまで自動車業界では、メーカーが消費者に直接車を売るのではなくディーラーが仲介するのが一般的でした。ところがテスラは、インターネットによって消費者とダイレクトにつながります。

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