ランボルギーニ、新型スーパーカーのすごみ 国内外でジワリ盛り上がる高級車市場

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「今年はスーパーカーのセグメントが非常に伸びる」(ヴィンケルマンCEO)

国内外の高級車市場は、2008年秋のリーマンショックでの落ち込みから回復傾向にあり、ジワリ盛り上がりつつある。ヴィンケルマンCEOも「今年はスーパーカーのセグメントが非常に伸びるとみている。お客様の期待もどんどん高くなっている」と分析する。ここ日本でも、約200台というランボルギーニの年間販売台数と同様、数百台単位の水準で販売を行う高級車メーカーは多い。同じイタリアのフェラーリやロータス、アストンマーチンといった英国勢も少しずつだが、ここ数年台数を伸ばしている。

ホンダや独メルセデス・ベンツと組み、F1マシンを手掛けてきた英国の名門マクラーレンも、2011年から傘下のマクラーレン・オートモーティブを通じて、1年に1つの新型車を投入している。同社の主力価格帯はランボルギーニと同じく3000万円前後だ。競争環境は厳しくなる一方だが、ヴィンケルマンCEOは「競合モデルが多いのは、お客様にとって選択肢が増えるので、すごくいいことだと思う。我々は通常の期待を超えるような、すごい車を作るために努力を続けるだけ」と淡々と語るのみ。技術やブランドに対する自信があってこその発言だろう。

注文から納車までは12カ月

ランボルギーニのガヤルドの時代から最大のベンチマークと目されてきたのが、フェラーリが手掛ける4.5ℓV型8気筒エンジンを積んだ「458イタリア」だ。ウラカンで向上した走行性能は、この458イタリアを意識したとみられる部分も多い。たとえば、スーパーカーの見せどころである時速0kmから100kmへの加速時間は、458イタリアが3.4秒で、ウラカンは3.2秒。ちなみにガヤルドは3.7秒だったため、今回のウラカンで、458イタリアを追い越した形だ。最高時速は3モデルとも時速325km。このクラスではこれが限界なのかもしれない。ただ車両全体の軽量化や燃費では、458イタリアがガヤルド、ウラカンの両方を上回る。ランボルギーニがウラカンに初搭載したデュアル・クラッチ・トランスミッションは、フェラーリが458イタリアに09年の発売時にはいち早く導入していた。

今後の日本での販売については、「来年にはウラカン単体で100台以上を狙っていきたい。今回の発表時点では130件の予約注文が来ている」(ヴィンケルマンCEO)。日本法人広報によれば、注文から納車までは12か月かかるという。

ランボルギーニにとってグローバル販売は、2011年から販売する6.5ℓV型12気筒エンジンを積んだモデル「アヴェンタドール」と、今回のウラカンをもってすれば、「来年には過去最高の販売台数を更新できる」(ヴィンケルマンCEO)。17年には同社初のSUVモデルの投入も計画されている。今後しばらくは、ランボルギーニの勢いが続きそうだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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