北海道「花の島」礼文島の短い夏を路線バスで巡る シーズン到来!さいはての絶景と「海の恵み」

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香深港に戻り、9時25分発のスコトン行きに乗車する。運転士から「礼文島内路線バス1DAYフリー乗車券」(大人2000円)を購入する。毎年4月下旬から10月末日まで購入できるフリー切符である。今日は島の最北端、バスの終点のスコトン岬に泊まるので、バスに乗るのは片道だけの利用である。合計運賃(1850円)を上回るが、乗車のたびに小銭を用意する煩わしさから解放されるし、旅の記念にもなるので、使ってみることにした。

海岸線を走る路線バス(写真:『シニア バス旅のすすめ』より)

香深の港と市街地で20人ほどが乗り込んだ。ほとんどがシニア世代の観光客で、礼文岳に登る登山スタイルの人もいた。

入山場所と下山場所が異なる場合、マイカーやレンタカーを使いにくく、登山客にとって路線バスはなくてはならない存在なのである。

バスは東海岸の道道を北上する。緑の斜面がそのまま海へと落ち込む険しい地形で、何度か覆道(雪崩や落石から道路を守るトンネルのようなもの)をくぐる。海の向こうの利尻富士を見つめているうち、「次はキトウス」の車内アナウンスが流れ、降車ボタンを押す。

訪ねたのは、船泊漁協が運営する「うにむき体験センター」(体験料:1個800円)。いけすから拾い上げたばかりのウニを、女性職員に教わりながら自分でむいて、洗って食べてみる。その旨さに、もう1個!とお代わりしたくなるが、ここは我慢する。島をさらに北上すれば、漁協直営の食堂があると聞いたからで、そちらを目指すことにした。

漁協直営食堂で北の幸を堪能する

次のバスが来るまで、センターの周辺をぶらぶら散歩していると、小さな集会所を見つけた。そこに「〝起登臼〟自治会館」と掲げられており、「キトウス」に漢字があることを知る。崖の上まで続く長い屋根つき階段の下には、「津波避難場所」という案内板がある。バスが走る道道はどこまでも海岸線をたどるので、万が一、津波が押し寄せてくれば、クルマを捨てて高台に逃げるしかないのである。

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