「理不尽に負けない」メンタルを持つCAの日常習慣 タフなメンタルは「ビジネススキル」
「感情を切り替える場所」を持つことも、有益なテクニックです。
感情の起伏は誰にもあるものです。感情を素直に表すことは、人間味が感じられ、共感が得られることですが、ビジネスシーンにおいては、注意が必要です。ビジネスの場で、個人的な事情で個人的な感情を出すと、ビジネスパーソンとしての信頼を損なうことがあります。
お客様に叱られ、先輩に叱られた時、思わず涙することもあります。そんな時は、ラバトリー(機内の化粧室)に駆け込みます。誰にも見られないところで、ネガティブな感情を吐き出し、すべて流してしまうのです。
負の感情は、ため込まず、その都度吐き出して、フラットな精神状態に戻すことが健全な「メンタル」を保つ秘訣です。そのためには、それに相応しい自分だけの「感情を切り替える場所」を持つことです。
うがい・手洗いの徹底で20年以上、風邪を引かない体に
「メンタル」を整えるためには、精神だけでなく、身体の強化も必要です。病気ではないまでも、体に不調を抱えているときは、仕事において最高のパフォーマンスは発揮できないものです。昼夜逆転の生活スタイルや時差、季節の変化などの激しい環境でのフライトは、想像以上に過酷な仕事です。季節の変わり目ごとに風邪を引いているようでは、CAは務まりません。自分を律し、健康管理にはつねに気を遣います。
例えば、「うがい・手洗い」。コロナ感染が拡大して以降、うがい・手洗いが強く推奨され、今では当たり前の習慣になりましたが、CAは以前からうがい・手洗いを厳しく教えられています。日本では考えられないような劣悪な衛生環境の国へフライトしたり、不特定多数のお客様に至近距離でサービスするからです。
私が入社した35年以上前から、機内には消毒用のアルコールスプレーが常備され、サービス前には必ず手指を消毒していたものです。うがい・手洗いも適当に行うのではなく、正しく徹底的に行うことで、私も二十数年以上風邪を引いたことがありません。そのくらいうがい・手洗いには絶大な効果があるのです。
そして、海外ステイの際には、必ずバスタブにお湯をためて、入浴します。日本では当たり前の習慣ですが、海外のホテルにはバスタブのない部屋もあります。そういう部屋にあたった時には、バスタブのある部屋に変えてもらい、必ず湯船に浸かります。
フライト後、疲れて早く眠りたいときでも、バスタブに浸かって体中に浴びた静電気を洗い流し、体を温め、疲れを回復させます。機内もホテルも乾燥する環境の中、湯船に浸かることで体中に潤いを与えます。こうすることで、風邪を引きにくい環境を整えています。
このように、理不尽に負けないメンタルを作る習慣は、決して特別な訓練が必要なことではありません。心と体のバランスを整えるための、ちょっとした習慣を身に着けることで、メンタルも育っていきます。
「ものの見方」と「気の持ちよう」を少し変えるだけで、不思議と気持ちが軽くなり、前向きに考えられるようになるものです。
そしてポジティブな意欲は、健康な体とセットです。健康管理は、うがい・手洗いやゆっくり湯船に浸かり体を温め、清潔に保つ。
実は、日本人が昔から当たり前のように行ってきた生活習慣を、愚直に真面目に取り入れること、それを習慣にすることが、一流のメンタルを手に入れる王道なのです。これらをビジネススキルとして捉え、研鑽していくと、理不尽に負けないメンタルが養われていくのです。
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