続発する施工トラブル、「太陽光」普及に冷や水
太陽光パネルの設置には、電気工事の知識に加えて屋根の形状や経年劣化への対応など、高い専門知識が求められるが、研修合格のハードルはおおむね低い。
研修受講者を電気工事士・建築士の有資格者に限定しているメーカーは少数で、大半の企業は研修受講に際し資格制限を設けていない。研修期間も座学と実技合わせて数日程度、企業によっては1泊2日で修了することもある。
参入が増えることはまた、販売競争の激化を招き、手抜き工事の温床にもなる。過去10年以上、太陽光発電を取り扱ってきた関東の販売施工業者は、「今のブームの前と後では利益率が7~8%落ちた」と嘆く。
販路は地域の家電量販店やホームセンターにまで広がる一方で、太陽光パネルの卸価格はメーカー側が強い主導権を握っており、値下げもままならない。競争激化の逆風は、販売施工業者側にのみ押し寄せる構図となっている。こうなると収益確保のため、施工に必要な材料を手抜きする動機もおのずと強まる。
メーカー側は防止策としてビスなどの細かい部材に至るまで梱包して販売店に供給するが、それでもシール材など一部の材料は販売施工業者側の自己調達に頼る。「施工で手を抜こうと思えばどうとでもなる」と関西拠点のある業者は打ち明ける。
消費者が工事の正確性を検証するのは困難。だからこそ、施工業者の質は厳しく選別されるべきだが、その仕組みが不十分であることを、相次ぐトラブルが示唆している。