スズキが直面「インドとミャンマー」という難関

積年の課題「インド一本足」から脱却できるか

他社と同様、半導体不足や原材料費の高騰といった不安要素を抱えてのスタートとなったスズキだが、他社と大きく異なるのがインドに収益を大きく依存していることだ。

インドが好調だった2018年3月期、スズキは営業利益の4割以上をインド子会社のマルチスズキで稼いでいた。それが2021年3月期には17%まで低下した。日本市場のこれ以上の成長が厳しい中、スズキが大きな成長を期待できる市場がインドなのだ。

インドの感染状況は深刻だ。陽性者数は5月27日時点で240万人以上、累計で31万人以上が死亡している。インドでは感染拡大当初から、症状が出てもPCR検査を受けない人もいることなどから陽性者数のカウント漏れが指摘されており、実態はより厳しいとみられる。

インド国内に36ある州のうち、5月13日時点で28州がロックダウンを行っている。2020年の厳格な措置とは違い、物流など一部機能は維持されているが、スズキの販売店は13日時点で8割が休業を余儀なくされている。

酸素不足で自動車生産を一時停止

感染者が一気に増加したことで2020年にはなかった問題も発生した。医療用酸素の不足だ。自動車の生産にも部品製造の段階などで工業用酸素を使用する工程がある。各事業者はインド政府からの要請で工業用酸素を医療向けに提供しており、自動車の生産が難しくなった。

4月に3つめの工場が稼働したスズキのグジャラート工場全景(写真:スズキ)

スズキもこれを受けて、現地の生産拠点すべての稼働を5月1日から停止した。当初は6月に予定していたメンテナンスの前倒しという形で5月9日までの停止としていたが、最終的には減産期間を5月16日まで延長した。

5月17日には酸素を使わない生産方式に切り替え、全工場の稼働を再開した。とはいえ、フル稼働ではなく、販売店の休業も続いている。そうした状況でも財政赤字を抱える政府の企業支援策は手薄だ。ジェトロの村橋靖之ニューデリー事務所長は「今回の第2波はあまりに短期間に感染者が急増したため、政府支援も酸素の確保や医療体制支援等に集中した。企業活動の一部も継続しているので、現時点で具体的な企業支援策は講じられていない」と指摘する。

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