ついに上場申請、LINEが描く野望

日米同時上場に照準、成長路線に死角はないのか

世界では億単位のユーザーを抱えるサービスがいくつもあり、群雄割拠の様相を呈している。LINEは海外での認知度を高めるため、これまでに海外11カ国・地域で現地の人気俳優を起用するなどしたテレビCMを放映。各地の言語や文化に対応した スタンプも開発した。5月から始めた、自作スタンプを販売できる「クリエイターズマーケット」でも、海外ユーザーの嗜好が表れたスタンプが充実してきている。

こうした施策が奏功し、急激ではないものの、先行するライバルのいる市場でも、インドネシア、インドなどアジアを中心に利用者を伸ばしている。中国でも、沿岸部の大学生やホワイトカラー層をターゲットに定めたマーケティングを展開。LINEプラスで中華圏を担当するフランク・リー氏は4月時点で、「(1700万人のユーザーを持つ)台湾よりも多くのユーザーを獲得できて いる」と語っていた。

課題は北米の開拓

スタンプがLINEの急拡大の起爆剤になった(撮影:尾形文繁)

一方、苦戦の色を隠せないのが北米だ。米国ではようやく1000万人のユーザーを獲得したものの、人口比で見るとアジアでの健闘に及ばない。この米国で君臨するのが、世界で最も普及する「WhatsApp(ワッツアップ)」だ。メッセンジャー機能に特化したシンプルなアプリだが、14年4月時点の月間利用者数は5億人に達し、欧米を中心に多くの国でトップシェアを握っている。

ワッツアップは2009年5月にメッセンジャーサービスを開始した古参のアプリ。競合不在の中、世界各国で先行メリットを享受した。巨大なユーザー基盤に目を付けたSNS最大手の米フェイスブックは2月、約1.9兆円で買収すると発表し、業界を驚かせた。

早くから米国に根を張っているだけに、ワッツアップを使って家族や多くの友人とコミュニケーションをとっているユーザーに乗り換えてもらうのは容易ではないようだ。こうしたこともあり、米国での上場は北米での認知度向上を狙う意味合いもあるだろう。目下、LINEはスペインでの利用者急増を機に、スペイン語を話す中南米でも急成長している。これを米国にも飛び火させ、スペイン語を話す米国のヒスパニック系の人々をターゲットにワッツアップからシェアを奪おうとしている。

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