スペインが中欧進出、欧州鉄道「戦国時代」の様相 コロナ禍で苦境のチェコ企業をパートナーに

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レオ・エクスプレスが運行本数や区間の拡大へ向け、世界最大の鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)から新型電車「シリウス」を3編成購入し、今年中の営業開始を目指して現在テスト走行中であるのは既報の通りだ。また都市間輸送とは別に、チェコ国内では一部のローカル線で公共サービス義務契約(Public Service Obligation:PSO)による地域輸送にも進出している。

レオ・エクスプレスが運行するシュタドラー(スイス)製の電車。チェコのほかスロヴァキアとポーランドにも乗り入れる(筆者撮影)

コロナ禍以前の業績は非常に好調で、2019年には11億チェコ・コルナ(約57億3200万円)を売り上げ、1億5000万コルナ(約7億8000万円)の利益を記録していた。しかし2020年のコロナ禍で状況は一転。同社は経営危機に陥り、一時はチェコ国内でライバル関係にあるチェコ鉄道と、買収へ向けた話し合いが行われる状況となっていた。

もっとも、チェコ鉄道とレオ・エクスプレスの2社は以前から料金設定などをめぐってたびたび衝突を繰り返しており、とくにプラハ―オストラヴァ間の運賃設定をめぐっては法的措置を取ったことで欧州委員会が仲裁に入る事態に発展するなど、関係は良好とは言えず、結局交渉は進展せず物別れに終わった。とはいえ、依然として厳しい状況に変わりはなく、レオ・エクスプレスは引き続き新たなパートナーを探していた。

他国進出に出遅れたスペイン

一方、レンフェは鉄道のオープンアクセス化により各国の鉄道会社が他国へ進出することが当たり前になる中、国外への進出が遅れ、国内事業が経営の中心を担ってきた。また、これまではスペイン国内に他社の進出はなく、同社が市場を独占していた。

レンフェの高速列車AVE(左)とフランスの高速列車TGV(筆者撮影)

ところが、そこへフランス国鉄とイタリア鉄道が揃って殴り込みをかけてきたのだ。フランス国鉄はスペイン国内で高速列車TGVを運行する計画を発表。イタリア鉄道も、自国で運行する高速列車フレッチャロッサと同型の車両を投入して、スペイン市場への参入を表明したのだ。

イタリア鉄道は、オープンアクセス法が施行されて以降、最初に他社の参入を許した国(鉄道)であった。その巻き返しを図るため、同社は他国への進出を積極的に進め、現在はフランス、ドイツ、チェコ、ギリシャ、英国と、最も野心的に他国へ進出する企業となった。今回は、それにスペインが加わるわけである。

一挙に2社もライバルが参入するとあって、レンフェも他国への進出に活路を見出すことになった。とはいえ、新たに別の地域へ参入するためには相応のリスクが伴うため、現地のノウハウが必要不可欠だ。地場の企業を買収、もしくはパートナーとして迎え入れることが参入の近道となる。

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