スペインが中欧進出、欧州鉄道「戦国時代」の様相 コロナ禍で苦境のチェコ企業をパートナーに
今年3月、少し意外なニュースが流れてきた。スペインの国営鉄道会社Renfe(レンフェ)が、チェコの民間鉄道会社の一つであるレオ・エクスプレスの株式を50%取得する計画があると発表したのだ。
実現した場合、レンフェはレオ・エクスプレスとのパートナーシップにより、中欧地域のチェコ共和国、ポーランド、スロヴァキアでの列車運行事業が可能となる。また、レオ・エクスプレスはドイツ国内で旅客運行を行うために必要な安全認証をドイツ連邦鉄道局(EBA)から受けているため、ドイツ国内への進出も可能となる。
官民を問わず、鉄道事業への参入を認めるオープンアクセス法が施行された近年、欧州各国の鉄道会社は自国だけでなく、他国内での列車運行事業に進出するのが当たり前になっている。スペインのレンフェがチェコのレオ・エクスプレスと組む経緯、そしてその狙いは何だろうか。
コロナ禍でパートナーを失う
レオ・エクスプレスは以前、ドイツのFlixTrain(フリックストレイン)とパートナー契約を結び、ベルリン―フランクフルト―シュトゥットガルト間の列車運行を委託されていたが、2020年10月に契約を打ち切り、新たなパートナー企業を探しているところだった。
同社は昨年、新型コロナウイルス大流行がいったん収まりを見せた夏以降、一時運休していたフリックストレインの運行再開を打診していたが、これを拒否されたことで大きな経済的損失を被ることになった。ドイツ以外の路線で運行を再開することで、辛うじて事業を継続できたが、経営環境は依然として非常に厳しい状態が続いている。
レオ・エクスプレスは2010年に設立され、オープンアクセスにより鉄道事業へ参入。2012年11月からシュタドラー(スイス)製の電車5編成を使って、プラハ―オストラヴァ間で都市間列車の運行を開始した。現在は運行区間を拡大し、スロヴァキアとポーランドへも乗り入れている。
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