中国版ゴールデンウイーク、「五一商戦」に見る中国消費市場の最前線
どこもかしこも人でいっぱいという印象を受けるが、街中すべて、というわけではない。街のヘソから100メートル程度しか離れていないところに位置するこの1、2年でできた新しいショッピングセンターやデパートは、普段の週末よりも客が少ない。
できたばかりのショッピングセンターは、1階こそ人の波はあれ、2階以上はさっぱりだった。街の中心から離れた新興住宅地にある蘇寧電器や国美電器はおろか、中心から数キロ離れたこれらの店も人の入りはさっぱりである。ショッピングセンターに入るショップのほとんどはやや高めのアパレル関係だが、通路から歩きながらショップを見る人が大半で、店内に足を踏み入れる人は少ない。
実は、連休の時期に大都市の繁華街で買い物を楽しむ消費者は、地元の学生と大都市周辺の衛星都市や農村部から遊びにきている人々ばかりなのだ。
春節と中秋節には家族・親族が集うが、労働節には家族・親族が一堂に会する習慣はない。このためカネのある社会人家庭はこの時とばかりに旅行に行ってしまう。したがって、都市中心部の目立つショッピングセンターや家電量販店やスーパーには人が入る一方、ショッピングセンター内の外資系アパレルショップや、普段から地元の人々が行くようなショッピングセンターやスーパーには客がまったくといっていいほど入っていないという、奇妙な現象が起きるのだ。
大都市周辺の人々は買い物を楽しむために大都市に足を伸ばし、大都市の人々は旅行に向かう。その一部は香港や上海などワンランク上の都市で消費に走る。では上海ではというと、上海万博を見に行く人も、中国各地に観光に行く人ももちろんいるが、この期間に香港や東京に足を伸ばし買い物をする人もいる。