五輪開催か否か、菅首相が迫られる決断の「Xデー」 決断のカギを握る東京の緊急事態宣言解除
宣言期間中でもバッハ会長の来日は可能だが、小池百合子都知事や橋本聖子JOC会長らとの5者協議で五輪の強行開催を決めることは困難とみられている。国際社会でも五輪中止論が大勢となるのは確実で、最終的にはバッハ氏らが五輪中止の決断を迫られる場面も想定される。
バッハ氏とともに五輪開催を決める当事者である小池氏の動向も注目されている。小池氏の都政運営に大きな影響を与える都議選は6月25日に告示され、7月4日に投開票される。それに先立つ東京都議会は6月1日に開幕し、その冒頭に小池氏の所信表明演説が予定されている。
小池知事が「五輪中止表明」のうわさも
このため、大型連休中には永田町で「6月1日に小池氏が五輪中止を表明する」とのうわさも飛びかった。小池氏自身は公式の場で五輪開催への決意を繰り返し、「(五輪開催の可否が)政局絡みで語られるのは、とても私にとっていかがかと思う」とうわさを否定している。
ただ、自民党内には「機を見るに敏な小池氏だけに、感染が収まらなければ、菅首相の機先を制する形で中止論をぶち上げる可能性は否定できない」(幹部)との疑心暗鬼が絶えない。菅首相サイドも「まさかとは思うが、小池氏ならやりかねない」(側近)と身構える。
国会は6月16日が会期末で、政府与党は延長しない方針だ。最大の懸案だった憲法改正の前段となる国民投票法改正は14日までには成立する見通しだ。五輪開催が困難視される状況となれば、与党内での首相の責任論浮上に合わせて、野党側が会期末に内閣不信任決議案を提出する可能性も出てくる。ただ、その場合でも「菅首相の解散断行は困難」(自民幹部)とみられている。
窮地に追い込まれつつある菅首相にとって、「最後の頼りはワクチン接種の加速化」(側近)だ。首相が打ち上げた7月中の高齢者接種完了が実現すれば、欧米の例から見ても五輪前には感染拡大が抑えられる可能性が強まる。現状では「接種の人員確保も含め、東京では8月から9月へのずれ込みは避けられない」(厚労省幹部)とされるが、その状況見極めも6月に入ってからになる。
そうした中、最新の世論調査では内閣支持率が政権発足後最低レベルに落ち込み、不支持率が軒並み最高を記録している。政府のコロナ対策が主因だが、五輪の中止・延期を求める声も平均で7割超となっている。
こうしてみると、6月上中旬にかけての時期は「コロナ・五輪政局の最大の節目」(自民長老)となるのは確実だ。五輪中止となれば菅首相の早期退陣論にもつながりかねない。菅首相にとって「G7サミット出席までの3週間で、天国か地獄かが決まる」(同)のは間違いなさそうだ。
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