駅でトラブル続出、「やらかす」撮り鉄の心理 撮影場所奪い合い、暴力行為に発展した例も

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撮り鉄をはじめ、オタク趣味では最も脂が乗る時期がある。それは若い頃で、年齢的には10代から20代前半の学生時代が主な活動時期となる。

若く、経験がない故に「これをやったら、どうなるか」と予想する能力が弱い。だから「やらかす」のだが、一方で、年齢が上がるにつれて「やらかす」ことのレベルも上がる。

人は「やらかす」ことで成長する面もあるのだが、特に鉄道の場合は、線路内の立ち入りやホームでのトラブルが事故につながりかねないが故に「やらかす」ことが致命傷となってしまう。

もっとも、大人になっても「これをやったら、どうなるか」を予想する能力が低い人が少なからず存在する。平たく言えば「空気の読めない人」とも言えるのだが、混雑しているホームで三脚を立ててしまったり、ホームの端ギリギリで撮影をしたりというのが撮り鉄の例となろう。一般の人なら、ホームでやりがちなスマートフォンの「ながら歩き」もこれに近い。

いずれの事例も、利用者どうしの衝突・トラブルや、ホームからの転落の原因となるのだが、仮に事故が発生した場合、悪者は誰か?という話になる。最も悪いのは事故を発生させた当事者なのだが、それを放置した鉄道会社側も責任を問われる。では、鉄道会社としてどういう対応を取るかと考えれば、それは撮影制限につながりかねない。結果として自分の行動が首を締めることになるわけだが、そこまで思いが行き着かないと、なりふり構わず「撮りたい」という欲求が勝ってしまう。

踏切から線路内に立ち入って撮影する事例も、自分が列車に接触するリスクがあるとか、そもそも線路内に立ち入ることが法律に触れるということを考えないのだろう。

一定の割合で存在する、「おかしな人」

元2ちゃんねる管理人で有名な西村博之氏によると、どのコミュニティにも一定の割合で「おかしな人」が存在するという。撮り鉄に当てはめてみると、大勢の人がいる中で暴れてしまう輩や、撮影場所を横取りして自分だけいい構図で撮影してしまう輩が実際にいるのだが、明らかに「おかしな人」であろう。世の中は善人ばかりではないということを思い知らされる。人というものは、不合理な獣でもあるのだ。

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「おかしな人」は自分が「おかしい」ということに気づかない。「おかしな人が絡んできた」と思ったら、相手に非があっても直ちに撮影をやめ、撤収しなければ自分の身に危害が及ぶことになる。

以上、ライターの分際でもっともらしいことを書いてきたが、オジサンとなった鉄道趣味ライターの過去を思い出してみると、未熟さゆえに散々やらかし、そのたびに大人たちに尻ぬぐいをさせ、叱らたり、諭されたりしたものだ。SNSが発達した現在は「やらかす」ことが一気に拡散して「火消し」ができないほど燃え広がってしまううえ、「魚拓」を取られて未来永劫、罪人として覚えられてしまう。「バイトテロ」がいい事例だが、「若さ故の過ち」がいつまでも覚えられる世の中は、果たして健全なのかとも思ってしまう。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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