黒田総裁任期満了までに物価目標2%達成困難 強い金融緩和続行で物価目標の達成可能と主張
日本銀行の黒田東彦総裁は27日、長期金利について日銀が「意図的」に変動させるのではなく、経済・物価情勢に応じて「明確化された範囲内で変動することを想定している」と話した。金融政策決定会合後に記者会見した。
黒田総裁は、3月会合で明確化した長期金利の変動幅上下0.25%程度は「市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスをとる観点」だったと説明。変動幅の上下限を超える恐れがある場合以外は、「買い入れ額を調整しないということに変更した」と述べた。
同時に一段と柔軟にした上場投資信託(ETF)の買い入れについても、年間12兆円程度を上限に「メリハリをつけて行う」とし、量的緩和の縮小など緩和政策からの「出口というものでは全くない」と断言した。
同日発表された経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)上昇率の見通しは、2023年度も1.0%上昇にとどまった。同年4月の黒田総裁の任期満了までに2%物価目標は達成できない見込みだ。
日銀が21年度成長率予想を上方修正、海外けん引-金融政策は維持
黒田総裁は、2%目標について「適切であり、これを引き下げることは考えてない」と改めて表明。3月の政策修正によって持続性と機動性が増した現行の強力な金融緩和策を粘り強く続けることで、見通し期間を超えるものの、物価目標の達成は可能と主張した。
ただ具体的な達成時期については回答せず、任期後の24年度以降になっても仕方がないと話した。
21年度の物価見通しは、携帯電話通信料の値下げを織り込んだ結果、0.1%上昇と前回の0.5%上昇から下方修正となった。黒田総裁によると、一定の仮定を置いて試算すると、携帯の値下げは消費者物価を0.5%-1%程度下押しするという。
(発言内容の詳細を追加します)
著者:伊藤純夫、占部絵美、氏兼敬子
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