ファミリー世帯ではどうだろうか。
プロパンガスの平均使用量は4人世帯で11.3㎥なので、プロパンガスの関東の平均料金を基に試算すると8033円になる。
先ほどと同様に都市ガスとの料金差を試算すると、都市ガスの方が月3675円安くなる。持ち家の取得年齢の平均が37歳で平均寿命から差し引きした平均余命は約50年なので、この価格差は50年で約220万円に相当する。これだけ光熱費が余計に掛かることになるのだ。
こう考えると、新築分譲戸建の価格は文字通りではなく、プロパンであれば光熱費で約220万円余計にかかると想定しなければならない。首都圏の新築分譲戸建の平均成約価格は約3500万円なので、220万円は6.2%に相当する。
プロパンガスがこの様に高いのには理由がある。例えば、新築分譲戸建の売主は土地を仕入れて、その上に建物を建てる。この際に、ガスの配管工事をプロパン業者は無償で行っているのだ。工事費以外にリベートを払っている可能性もある。先ほど書いた様に、プロパン事業はずっと自由料金制で1.8万も事業者が存在するのだから選ばれるためにはお金が水面下で動く可能性もある。
こうなると、売主は建築コストがその分安くなる。事業採算が良くなるのだ。その代償に毎月のプロパンガス代金は高くなるが、それは居住者が負担するので売主の腹は痛まない。アパートでも同様の構図になる。施主である地主は建築コストが安く済むが、その分入居者は高いガス代を払わされることになる。
入居者はどう自己防衛すればいいのか?
プロパンガスを支払っている場合、どうすればいいかは順を追って説明していこう。まずは、毎月の明細を確認しよう。明細には、基本料金とガスの使用量(㎥)とその単価と請求額が明記されているものもあれば、使用量と請求額しかないものもある。
その際、使用量と請求額だけでも相場が分かれば、割高か否かは判明する。相場は、一般財団法人 日本エネルギー経済研究所石油情報センターが調査しており、2021年3月の調査結果では関東(1都6県)は以下の様になっている。
10㎥ 7,348円
20㎥ 12,619円
これより高いならば、プロパンガス会社を合い見積もりして安い事業者に切り替えれば問題は解決する。プロパンガスは自由競争なので変えることができるのだ。無償配管なんて知ったことではない。
しかし、賃貸住宅の場合、入居者が一存でガス事業者を選べるわけではないので、その選択はオーナーが決めることになる。こうなると、そもそも賃貸物件を選定する際に、プロパンガスになっているものを避けることが賢明な手段になってくる。賃貸の物件検索サイトはどれもこだわり検索に『□都市ガス』というチェックマークがあるので、これを使えばいい。それが高いガス代を回避する賢い方法になる。
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