オバマ元米大統領夫人が「番組で高評価」のワケ Netflix「ワッフルとモチ」は大人でも楽しい!

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シンプルかつ巧妙にフードリテラシーを追求した作りから、おそらく狙いは幼児だけではないはず。世界のキッズ番組トレンドがそうであるように、家族そろって視聴できるファミリーエンターテインメントを意識していそうです。歌手のSIAに往年のスター、ライオネル・リッチーまで登場し、シェフは料理本「Salt Fat Acid Heat」で世界的に知られるサミン・ノスラットなど、大人が喜びそうな顔ぶれだからです。

『ストレンジャー・シングス』でダスティン役を演じたゲイテン・マタラッツォが9話(「きのこ」の回)でゲスト出演している(写真:Netflix)

Netflix内のクロスプロモーションとして、人気リアリティショー『クィア・アイ』のファッション担当のタンやNetflix最大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス』のダスティン役を演じたゲイテン・マタラッツォもゲスト出演しています。このマタラッツォ出演回(9話)は『ストレンジャー・シングス』をオマージュした場面まであります。作品ファンにはたまらないコラボレーションに仕上がっていますが、キッズ番組としては少々欲張りすぎます。そんなあたりからしたたかさを感じ、これも侮れない番組である所以です。

オバマ元大統領も出演?「意識の高い」キッズ番組

そもそも、オバマ元アメリカ大統領夫妻の知名度に頼った異色のキッズ番組でもあります。オバマ元大統領は出演こそしていませんが、番組内でこれ見よがしに顔写真が写り、紹介されます。

オバマ元アメリカ大統領夫妻はNetflixオリジナル作品を製作するために製作会社Higher Ground Productionsを2018年に立ち上げ、その年にNetflixと正式に契約を交わしています。複数年にわたる契約内容にはドラマやリアリティショー、ドキュメンタリーなどの製作が含まれていました。第1弾の作品は長編ドキュメンタリーの『アメリカン・ファクトリー』です。世界最高峰の映画の祭典「第92回アカデミー賞」(2020年)のドキュメンタリー部門で受賞し、早くも結果を出すという勝負強さを見せています。

そんな勢いのなかで、オバマ夫人の肝煎りプロジェクトとしてあるのが『ワッフルとモチ』なのです。「この番組はファーストレディとしての私の活動の延長線上にあります」と明言しています。どの部分においても、意識の高さが目立つ番組です。Netflixを見て育つNetflixネイティブの子供たちは多様性やグローバルが当たり前の価値観として植え付けられていくでしょうから、なにも驚くことでもないのかもしれません。ただし、そう身構えずとも、見ているうちに単純にお腹が空いてくる番組でもあります。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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