リモート強制された大学生たちの偽らざる本音 オンラインが当然の環境で育った世代の新常識

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ちなみに昨年の2020年新卒をリモートネイティブと呼ぶこともあります。彼らは入社式や新人研修をすべてオンラインで経験し、いきなりリモートワークの生活に飛び込んでいくことになりました。2020年新卒は、配属された部署の上司や先輩と対面で仕事することがほとんどなく、同期とのつながりも少ないことで、職場になじめない、あるいは孤独感にさいなまれるといった悩みを抱える人も少なくありません。

リモートで社会人生活を始めたという観点で見れば、リモートネイティブともいえますが、リアルコミュニケーションで育った世代がリモートの世界に“強制移住”させられたという理解のほうが正しく、厳密には「リモートイミグラント」と呼ぶべき世代です。

もちろん彼らもリモートワークを経験することでリモート脳は形成されていっていますが、やはりネイティブとは違います。生まれた時から英語を聞きながら育った人と、大人になって英会話スクールで学んだ人との英語力の差が一目瞭然であるように。

出社する意味ありますか?

「無機質で、とても想像していたとおりの、満たされた大学生活とは言えませんが、リモート授業を1年間経験し、講義を聞く、友達と話し合う、課題を提出する、などの大学生活において最低限求められることは、すべてリモートでも滞りなく行うことができるということにも気がつきました。対面であらゆることを行うことの必要性が揺らぐ大きなきっかけになったことは、間違いないと思っています」

インタビューした大学3年生の香川祥子さん(仮名・21歳)のコメントです。この言葉が、まさにいまの大学生の心情や価値観を最も代弁しているのだと思います。

もちろんすべてをオンラインでと考えているわけではありません。キャンパスでも、ゼミなど対話重視の授業、あるいは交流イベントやサークル活動はリアルのほうがいいということを感じています。しかし対面で会うことへのジャッジは確実にシビアになっているでしょう。トップが長々とした訓示を述べるだけの社員総会、ただただ聴いているだけの集合研修なんかには、明らかに拒絶反応を示すと思われます。

新入社員研修において、名刺交換の仕方を教える前に、出社する意味について懇々と説得するというプログラムが必要になる。そんな日がもうすぐやってくるかもしれません。

平賀 充記 ツナグ働き方研究所 所長

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ひらが あつのり / Atsunori Hiraga

人材開発コンサルタント/組織コミュニケーション研究家/若者キャリア研究家。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。主要求人媒体の全国統括編集長を経て、2012年リクルートジョブズのメディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。著書に『非正規って言うな!』(クロスメディア・マーケティング)『神採用メソッド』(かんき出版)『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。
ツナグ働き方研究所オフィシャルサイト「ツナケン!」:https://tsuna-ken.com/

 

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