アップルが「紛失防止タグ」「紫のiPhone」を発表 24インチiMac発売、iPad ProとApple TVも進化

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アップルは敷き詰めたLEDで色を含めた発光を直接行うマイクロLEDディスプレーの技術企業を買収するなど、次世代ディスプレー技術の研究開発に投資をしている。今後コストダウンと安定供給に目処を付ければ、有機ELから移行すると考えられるが、今回のミニLEDはコストとHDR表示の両立を狙ったものと位置づけられる。

iPad Proで採用されたミニLEDバックライトは、今後次世代モデルのMacBook Proや、iMacのディスプレーとして採用されることが見込まれる。これまでのiPad Pro同様、現在のMacBook ProやiMacでも、iPhone 12のビデオを正確に表示することができないからだ。

Macには上部にメニューバーがあり、点灯しっぱなしで焼き付きが発生する有機ELとの相性が悪いとされることも、ミニLEDバックライトがMacに採用される理由として挙げられる。

家電量販店にとっては厳しい選択

2020年からスタートしたアップルのバーチャルイベントも、スタイルが確立され、オンライン発表会の1つの姿として定着を見た。アメリカ国内では新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、人々の活動が動きが元に戻っていく流れが顕著になるだろう。

今回発表したAirTagは、生活空間が自宅で完結しがちだったロックダウン期間を避け、人々が街に戻り始める絶好のタイミングでの訴求となった。このあたりも、アップルのマーケティングの巧みさ、時代との対話の敏感さがにじむ。

その一方で、iMacの多色展開や、アップル製品を扱う販売店にとっては厳しい選択を迫られそうだ。

特にiMacはデスクトップコンピュータでありながら、プロセッサーが2種類あり、7コアGPUモデルは4色展開、8コアGPUのモデルでは7色展開に加えストレージ容量が2種類ある。標準モデルだけで18種類だ。取り扱うモデルを7コアGPUの下位モデルだけに絞っても、4種類のカラーバリエーションを小さくない箱で在庫することになる。

過去にもカラフルなiMacやiBookで同じ問題があり、現在ではiPhone本体やApple Watchのバンドで、膨大な数の製品展開となっていた。確かにアップルは、デジタルデバイスであっても画一的ではなく、あらゆる人の好みに最大限に合わせられるようにすることも、多様性の時代への対応と言えるが、そのしわ寄せがスペースや倉庫が限られる店舗を持つ販売店に向かっているのも事実だ。

こうしてみると直営店やオンライン販売への移行が強まることも、アップルが仕掛けるニューノーマル戦略の一部といえるかもしれない。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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