アップルが「紛失防止タグ」「紫のiPhone」を発表 24インチiMac発売、iPad ProとApple TVも進化

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アップルは2020年6月の世界開発者会議(WWDC20)で、Macについて、それまで採用してきたインテルから自社設計のアップルシリコンに切り替えていく2カ年計画を明らかにした。同年11月にその第1弾として「M1」チップを発表し、これをエントリーモデルのラインナップであるMacBook Air、MacBook Pro 13インチ、Mac miniに採用した。

今回の発表で、一体型デスクトップのiMacの小型モデルについては、M1搭載モデルに完全に置き換え、エントリーモデルのiMacからインテルチップは製造・販売が終了する。

ノート型Macは、アップルシリコンへの移行で、ハイエンドノートに匹敵する処理性能と大幅なバッテリー持続時間の向上という、非常にわかりやすいメリットが得られた。その点で、ノート型から置き換えていく戦略は正しかった。

電源を接続しながら使うデスクトップのiMacでは、デザインの進化という形でアップルシリコン採用のメリットをアピールした。今回アルミニウムの筐体はわずか11.5mm。いままでは液晶パネルの裏にもパーツを配置しなければならなかったため、背面は丸く膨らみを帯びていたが、今回はディスプレーの下の領域にすべてのパーツを収められたことで、膨らみもなくなっている。

同じM1チップであるため、基本的にはMacBook Airと同様の性能を発揮すると思われるが、これは実機のレビューを待たなければならない。

アップルのチップ移行は、処理性能とバッテリー持続時間を飛躍させたことから、成功している。そのことはiPadにも、Macと同じ「M1」の名前を用いたことに現れている。

これまでiPadには、iPhone向けAシリーズチップの高性能版を搭載してきた。例えば1世代前のiPad Proには「A12Z Bionic」が搭載されたいた。このルールに従えば、今回のiPad ProにはA14X Bionicという名称になるはずだったが、アップルシリコンのブランドとしてM1が成功したため、iPad ProにM1を持ち込む形で、iPad Proの魅力を高めようとしている。

ディスプレーの進化

アップルはiPhone向けに2017年から有機ELディスプレーを搭載し、高いコントラスト比を実現している。2020年にはカメラを進化させ、HDRビデオの撮影に対応させた。

しかしHDRビデオは、有機ELのような高コントラストでなければ正しく表示できないため、アップルの製品では、有機EL搭載のiPhoneか、60万円前後で展開するPro Display XDRしか対応しなかった。この点を改善しなければ、製品のエコシステムとして不完全だと筆者は考えていた。

2021年モデルのiPad Pro 12.9インチには、新しいディスプレー技術を採用した。ミニLEDバックライトだ。

これまでは画面の縁に敷き詰められたバックライトを用いて液晶ディスプレーに明るさを与えていた。しかしミニLEDバックライトは、液晶の背後に1万個のLEDを敷き詰め、2500のエリアに分けて発光させることで、コントラスト比を高める仕組みだ。

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