米国株が暴落しそうで結局さらに上昇する理由 「高所恐怖症」に悩む個人投資家は増加の一途
その結果、過去5カ月間の株式ファンドへの資金流入額は5760億ドル(63兆円)となった。これは、前例のない景気刺激策の金融緩和資金が急速に株式にシフトしていることを物語っている。
投資家の心理状態を表し、適温相場の象徴でもあるVIX(恐怖)指数は、このところコロナ前の2019年後半の水準を安定的に続けている。また、1.7%台後半まであった10年債利回りは1.6%を割れている。
その結果、ダウ平均株価は3月17日に史上初の3万3000ドルをつけたあと、3月24日に3万2420ドルまでの押し目を入れたが、26日には453ドル高の3万3072ドルと、再び史上最高値を更新した。
その後は押しらしい押しもなく、4月15日に3万4000ドルを超えた。前述の経済指標の回復と「まだこれからだ」という金融当局者の発言を考えると、スケールの大きい相場が再び始まっているといわざるをえない。
明確な売り材料がなく、強気派が多数になったとき、相場は天井を打つといわれる。しかし、ここまでの上昇でアメリカの投資家は高所恐怖症に襲われている。下がるとは思えなくとも「このまま行っていいのか?」という懐疑派も多い。
「相場は懐疑の中で育つ」といわれる。「懐疑・楽観・陶酔」という相場サイクルの順番でいえば、アメリカの大相場はなお「これから」ではないか。
日本株の上昇を静かに待つ
一方、このようなアメリカ株に対して、日経平均は2月16日に引け値ベースで30年半ぶりの高値である3万0467円をつけてから、実に2か月間にわたりモミ合いを続け、先行きの見通しも不透明なままだ。
この理由については前回のコラム「日経平均『3回目の3万円台』に付きまとう不安」に書いたとおりだが、企業決算の発表もいよいよこれから佳境に入る。2021年度は30%台の経常増益が予想されており、日を追うごとに、順調な回復ぶりが明らかになるはずだ。
確かにコロナ禍は、意外にも脆弱な日本のシステムを露呈させている面もあり、日本の投資家は「世界で最も慎重な投資家」になっている。だが、これがいつまで続くわけでもない。そのときを静かに待とう。
(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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