トヨタで学んだ資料作成「1分」で伝えきるワザ

結論からでは不十分、文字数少ない適切な順番

現在どうなっているか正確にはわかりませんが、トヨタでは細かな設計変更やシステムの試験的な変更でも、必ずその都度、上司の承認を得ることが必須とされていました。

これは現在のように変化のスピードが著しい時代には、あまりよくない部分かもしれません。しかし、トヨタでは自動車という人の命を預かる商品をつくっているので、企業として承認ルールを画一化する必要があります。

とにかくそのようなルールがあったため、日常業務のさまざまな場面で、上司の承認をもらいたい案件が現れてきます。ところが、肝心の上司の時間はなかなかもらえないのです。

上司は上司で忙しく仕事をしているため、部下に担当させている分野での細かい変更についてまで、1から時間を割いて説明を聞いていたら自分の仕事が終わりません(もし全部が全部、1から100まで上司が部下の仕事を見ているのなら、そもそも部下は要らないですよね)。そのため、「ペライチの資料にまとめて持ってきて!」などと指示されることが多く、そうした資料のつくり方について、みんなが習熟するようになっていました。こうした資料を介したやり取りも、ビジネスコミュニケーションのひとつです。

A3一枚にまとめるのは昇格試験のときだけ

なお、ここで言う「ペライチ」は普通にA4一枚のことです。A3一枚のことではありません。よく言われる「トヨタではなんでもA3一枚にまとめる」というのは誤解で、少なくとも私のいた部署の周辺では、A3一枚にまとめるのは昇格試験のときだけでした。

昇格試験の際には、資料作成の訓練も兼ねてA3一枚にぎっしりと、普通ならパワポで20枚程度になるような報告資料をきれいにまとめ切らないといけないのですが、日々の業務でそれをしていたら、「お前は暇人か!?」などと叱られること間違いなしの雰囲気の職場でした。

話を戻します。ペライチの資料に必要な内容を簡潔にまとめたら、上司の仕事が途切れたタイミングを見計らって「〇〇さん、1分いいですか?」などと声をかけて少しだけ時間をもらいます。1分くらいなら、相手がよほど都合の悪いタイミングでなければ、まず断られることはありません。

次ページ要点を押さえた資料があれば即決してもらえる
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