日本の「失われた20年」 デフレを超える経済政策に向けて 片岡剛士著 ~デフレの20年間を検証 財政金融政策の妥当性を問う
本書を、著者が「失われた20年」と呼ぶ90年代と2000年代の経済政策の有効性を問う同時代史と読みたい読者は、いきなり第4章から読み始めるとよいだろう。
一方、学術論文として序論から丁寧に読むことにも意義がある。ケインズと高橋是清という2人の巨星のデフレ対策から説き起こしているところに本書を解くカギがある。
長引くこのデフレを何とかして欲しいと考えるビジネスマンには、第3章が経済学を復習する格好の教材となるだろう。そこここに主張を忍ばせながら、デフレに陥った日本経済を多面的に考察している。
経済学者やエコノミストのミッションを景気動向の将来予測と考えるか、過去の経済政策の正誤の正確な検証と考えるかにより、彼らに対する期待度も変わってくるが、著者はその両方に意欲的に取り組んでいるように思われる(前者はやや控えめだが)。
かたおか・ごうし
三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。1972年生まれ。慶應義塾大学大学院商学研究科前期博士課程(計量経済学専攻)修了。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に入社し、現在に至る。
藤原書店 4830円 410ページ
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